気候変動で増える乱気流、日本にもあった危険ルート
■乱気流が最も多いルートは?
乱気流のパターンは世界地図の上に描くことができる。航空会社はこの地図を利用し、事前に代替空港を決めたり、不測の事態に備えたりしている。 乱気流は気象条件によって変化するが、乱気流が発生しやすい地域やルートもある。下のリストを見ればわかるように、最も乱気流が多いルートの大部分は、山の近くを通過している。 オーストラリアでは2023年、気流の乱れを表す指標の平均が最も高かったのはブリスベン─シドニー便だった。それに続いたのがメルボルン─シドニー便と、ブリスベン─メルボルン便だった。
■気候変動によって乱気流が増える可能性も
気候変動は、航空の未来にどのような影響を与えるのだろう? 2023年に発表された研究では、1979年から2020年の間に、晴天乱気流が大幅に増加した証拠が明かされた。激しい乱気流が55%増加した地域もあった。 気候モデルを使った2017年の別の研究では、いくつかの気候変動シナリオにおいて、2050年までに晴天乱気流が4倍に増えると予測している。
■乱気流に対して何ができるのか?
乱気流の影響を減らすために何ができるのだろう? 乱気流を検知する技術はまだ研究開発段階にあるため、パイロットは、気象レーダーから得た情報をもとに、湿度の高い気象パターンを回避する最適なルートを決定している。 パイロットは、気象レーダーの画像から、最も激しい乱気流が予想される場所を読み取り、航空管制官と協力してその場所を避ける。予想外の乱気流に遭遇したときは、パイロットは即座に「シートベルト着用」サインを点灯させ、エンジンの推力を弱めて機体を減速させる。また、航空管制官と連絡を取り合い、気流が乱れていない場所へと、機体を上昇または下降させる。 地上の気象センターでは、人工衛星の助けを借りて、発達中の気象パターンを見ることができる。この情報はリアルタイムで提供されているため、乗務員は、フライト中に予想される天候を知ることができる。また、飛行ルート上で嵐が発生した場合、乱気流が予想される場所も知ることができる。 私たちは、乱気流の増える時代へと向かっているようだ。航空会社は、航空機や乗客への影響を軽減するため、今後もできる限りの努力をするだろう。しかし、一般の旅行者にとっては、メッセージはシンプルだ。シートベルト着用サインが点灯したら、それに従おう。 (翻訳:ガリレオ) The Conversation Doug Drury, Professor/Head of Aviation, CQUniversity Australia This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.
ダグ・ドルゥーリー(豪セントラルクイーンズ大学航空学教授)