【解説】米大統領選 ミームやセレブの発信…Z世代の動向は?
■セレブも続々支持表明
さらに、アメリカでは日本よりも一般の人やセレブなども積極的に政治的な発信をしている。Z世代に人気の高い歌手の一人、アリアナ・グランデさんはバイデン氏撤退後、早々にハリス氏支持を表明。バスケットボールの最高峰NBAのスタープレーヤーであるステフィン・カリー選手はパリオリンピック前の会見で「ハリス氏からたくさんの支援をもらった。そのエネルギーを返したい」と話し、支持を表明した。著名人からの支持表明も後押しとなっている。
■最も重視するのは「経済」
こうして、若者に支持を広げているハリス氏だが、そのまま選挙での投票につながるかというと簡単ではない。Z世代の若者に聞いた「選挙で重視する争点」(上位3つを選択する質問)を見ると、民主党支持者が重視する中絶の権利や銃規制、気候変動などの問題も並ぶが、「経済・インフレ」を挙げる人が7割いる。インフレが人々の生活を直撃する中、返り咲きをねらう共和党のトランプ前大統領は今の経済政策を批判し、先日の世界的な株価下落についてSNSで「カマラ・クラッシュ」=「カマラの暴落」と投稿するなど、不安定な経済とハリス氏を結びつける発信も行っている。
■具体的政策出るか…民主党大会に注目
同志社大学大学院の三牧聖子准教授は、「インフレ対策がどの世代にとっても重要な争点で、ハリス氏が具体的な経済政策を独自の形で出せるかがポイントだ」と話す。自分の生活も苦しい中で、「ウクライナやガザなどの国際問題にお金を使ってきているいまの政権に対して、トランプ氏の自国優先の考え方や経済政策に期待する声というのは若者の中にもある」という。トランプ氏や副大統領候補のバンス氏の相次ぐ差別的な発言などに対しては「古い考え方」と見る若者も多いものの、それよりも具体的な政策を見ている有権者も多いという。そのため、来週の民主党大会や今後の選挙戦の中で、ハリス氏がどのような具体的政策を打ち出すのかが一層注目される。