「軽症」「中等症」「重症」の違いは? 新型コロナ、感染者の分類を解説
東京都や大阪府では、新型コロナウイルス感染者のうち、軽症・無症状の感染者をホテルなどの宿泊施設に移送しています。新型コロナ患者の状態を表すときに使われる「軽症」や「重症」と言った分類。それぞれどのような状態を示すのでしょうか? 【Q&A】「緊急事態宣言」って何?
入院の必要がない「軽症」
「軽症者は入院が必要でない方のことを指します」。厚生労働省・結核感染症課の担当者は説明します。新型コロナウイルスの場合、およそ8割が軽症だとされています。 入院の必要性を判断するのは医師で、ポイントとなるのは酸素吸入器や人工呼吸器などの医療機器を使わなければならないか否かだと言います。よって、患者が咳(せ)き込んでいたり「息が苦しい」「つらい」などの自覚症状があったりしても、自分で酸素を十分に取りこめている状態であれば入院は必要なく、「軽症」と分類されます。 同担当者は言います。「通常の風邪やインフルエンザで患者さんが強い自覚症状を訴えていたとしても多くの場合は自宅療養になりますよね。それと同じです」 一方、高齢者や基礎疾患がある方など免疫力が下がっている患者は、診断時の症状が重くなくても、自宅療養では危ないと判断されるケースもあります。そのような場合には「中等症予備軍」として入院措置を取ることもあるそうです。
中等症、重症、重篤の違いは?
では中等症以上はどのような容体を指すのでしょうか。 厚労省の担当者によると、酸素吸入をしないと危ないと判断された感染者が「中等症」に該当します。さらに症状が重い「重症」は集中治療室(ICU)での治療を必要とする場合、もしくは人工呼吸器を装着する必要がある場合のことを指すそうです。「重篤(じゅうとく)」という表現は厚労省ではあまり使わないとのことですが、「一般論としては命に危険がある方のことを重篤と表現します」、と説明しました。厚労省の分類ではこれらの方も「重症」に含まれます。 総務省消防庁では、医師の所見で3週間以上の入院を必要とする、と判断される場合に「重症」という言葉を使い、新聞やテレビのニュースでもその基準に沿って報じられます。例えば、交通事故で負傷した人について「全治2か月の重症」などと表現されます。しかし、新型コロナウイルス患者は、症状がその時々で変わるので、一度軽症や重症などと診断された人もその後に別の分類に変わることもある、と説明します。