立教大学の助教授が「不倫相手の教え子」を殺害して一家心中…教え子が最期に残した「メッセージ」と遺体の発見場所…事件をもとにした名作ポルノの「封印」がいま解かれた理由
解禁のメドが立っていない作品
なお、公表こそされていないが東映のスケバン映画や日活のロマンポルノには、出演者らの申し出によって封印状態となった作品がいくつも存在する。上映もソフト化も許されず、権利元の映画会社は(作品によりけりだが)抵抗なくスムーズに抗議を受け入れる。 もちろん関係者そのものが事件を起こしてお蔵入りというケースもある。 シナリオ作家協会所属の脚本家によるキャンセルによって一度は葬られた『女子大生失踪事件 熟れた匂い』だが、かたや作協が再上映に向けて活動していた『ガキ帝国 悪たれ戦争』は封印のきっかけとなったモスバーガー創業者の遺志が守られるかたちで未だに解禁のメドは立っていない。 実際の事件をもとにするだけでなく、生身の人間が携わり、ありのままのロケ地が使われる「映画」や「テレビドラマ」というメディアは、絶えず封印のあやうさを孕んでいる。そのリスクは年々高まっていくだろう。過去からの復讐と背中合わせで、今日もまたあらゆる新作・旧作が世に放たれている。
高鳥 都(ライター)