冬目前の「霜降」の頃、料理素材にするとよい意外な「赤い果物」とは?この時期「組み合わせると最強」の食材リスト
この時期の旬、もちきびとりんご
脾の機能にやさしい雑穀に“もちきび”があります。北海道から東北の地域で栽培が盛んとのことで、岩手県のもちきび生産者様を昨年のこの時期に訪問させていただきました。もちきびは身体に摂り込まれたらどんな働きをするのか…がこちらになります。 ■もちきび 【脾肺】脾と肺の働きをケアする。 【補中、健脾】自然の“甘み”で脾の機能に働く。 【補肺】肺の働きを補います。 もちきびは身体に摂り込まれた後、脾と肺の経絡に入るとされています。炊飯した雑穀は噛むとほのかな甘みを感じることが出来ます。「補中、健脾」消化作用の脾の機能は、この自然の甘みを嬉しく感じるのでおなかのコンディションが整います。「補肺」脾の機能が整うので、胃~小腸~大腸の通りが良くなる…その結果、大腸と表裏関係の肺の機能も補われると考えることが出来ます。食材の効能を紐解くと同じような説明になりますが、「季節の変化で生じる身体の不調に対して、自然は何通りもの方法を準備してくれている」とも解釈できます。中医学を学びながら、自然の偉大さを改めて感じます。 果物ではりんごをおすすめしたいと思います。りんごは身体に摂り込まれたらどんな働きをするのか…がこちらになります。 ■りんご 【脾胃大腸】脾胃と大腸の働きをケアする。 【生津、潤肺】肺を潤わせます。 【益胃、消食、健脾】消化機能の働きをケアします。 りんごはこれから収穫量が増えるのでスーパーで目にする機会が増えると思いますが、やっぱりこの時季にケアしたい「消化作用の脾胃」「身体に潤いを摂り込む大腸」に働きかけてくれます。“旬”を並べてくれているスーパーは、その時季の身体の薬箱のように感じます。
りんごは「料理する」のもまたいい。使い勝手のよい素材です
りんごを洗ってそのまま食べる丸かじり、薄い輪切りにするスターカット…など食べ方もいろいろありますが、料理の食材として使ってみても美味しいです。「れんこんと鶏肉のりんご煮」です。れんこんのしゃきしゃき感とりんごのとろっとした食感のコントラストを是非味わっていただきたいレシピです。 鶏もも肉をごま油で炒めてかられんこんとにんじんを軽く炒め合わせ、ひたひたのお湯にお醤油とお酢少々、お砂糖少々。中火で煮たてて10分、最後にりんごを加えてから強火で水分を飛ばします。りんごが煮汁を吸ってうまみの塊になります。 熊本県はれんこんの産地で、同僚かられんこんをもらったことがありました。そのお返しに…ではないのですが、れんこんと鶏肉のりんご煮を作って渡したところ、「りんごをこんな風に使うなんて初めて知った!」と驚かれたことがありました。冬瓜より形は残りますが、煮汁のうまみとりんご本来の甘みと酸味を感じる…なんともいえない味がします。特売のりんごを見つけた時にでも、ちょっと試していただきたいレシピです。 秋に旬を迎える食材は、秋にケアをしたい肺・大腸・毛穴に働きかけてくれます。今回は少し難しく話してしまいましたが、スーパーで「あ!旬だな」「この時季の特価!」のPOPを見かけたら、「おなかの薬だな」と思って手に取っていただけると良いと思います。 次回からは冬ですね。
再春館製薬所 田野岡亮太