居酒屋で生牡蠣を5個頼んだら、5000円近くかかりました。これってぼったくりでしょうか?生ですし、調理の手間もないと思うのですが…。
居酒屋でも客単価の高い高級店にいくと、単品の値段もそれなりにします。ときには「たったこれだけでこの値段?!」と納得できない料理もあるでしょう。今回のケースでは、生牡蠣1個で1000円かかった事例を紹介します。 そこで今回は、飲食店で食べる生牡蠣1個の相場について解説します。
飲食店で提供する料理の原価はどれくらい?
料理の価格が適正かを見極めるには、飲食店が設定している食材原価について知っておく必要があります。居酒屋やレストランの料理は、食材と調味料の価格がそのまま反映されているのではなく、仕入れ価格に応じて数倍程度の価格を設定します。そこで、飲食店で提供する料理の原価設定について解説します。 ■相場は食材費だけで30%程度 金融庁が発表している「業種別支援の着眼点」によると、飲食業の食材原価率は20~35%あたりに収めるのが目安といわれています。仕入れ原価が低く大量生産が可能なものは20%、高級素材を使い手間をかけた料理なら35%あたりに設定するところが多いようです。 例えば、ハイボールや餃子は20%、ラーメンやビールは30%、高級料理なら35%が1つの目安といえるでしょう。もちろん、すべての飲食店が上記の数値に従っているわけではなく、サービス精神で原価率を上げるところもあれば、原価10%程度に抑えて利益を重視する店舗もあるでしょう。 お店の方針や食材以外の経費によって原価率は異なりますが、大体の場合は30%程度と考えていいでしょう。 ■1個1000円の牡蠣なら原価は300円前後 水産庁のデータによると、2022年度の牡蠣の卸売価格は、1kgあたり938円です。1粒の大きさは20g前後といわれているため、1粒の原価はおよそ18円とわかります。 もしこの価格のものを1000円で売っているなら、原価率は2%程度です。 しかし、今回のケースでは生牡蠣で提供しているため、1粒47円の安物の牡蠣ではなく、高級な牡蠣を使用している可能性があります。例えば、名産品の牡蠣や夏場の岩牡蠣など単価の高い牡蠣なら、1粒あたりの仕入れ価格が300円を超えていても不思議ではありません。この場合、1000円かかったとしても妥当といえるでしょう。 ■海産物は日によって価格が変わる 水産物はその日や年の漁獲量によって、価格が大きく変動します。牡蠣は全国的に養殖されているため安定した価格で取引されやすいですが、海水温や潮流の関係で不漁に陥るケースもあり得ます。 また原価設定には「この範囲で抑えなければならない」といった法律はなく、価格設定は基本的に飲食店の自由です。食材の仕入れ値が高い日なら、生牡蠣の提供価格が高く設定されることもあるでしょう。