【パリ五輪男子注目国】ブラジル代表「熾烈なOQTを制して五輪切符を獲得したダークホース」
7月27日から8月10日にかけて開催される「パリ2024オリンピック競技大会」。4年に一度の世界一決定戦を前に、バスケットボールキングでは今大会注目の男子ナショナルチームをピックアップした。今回紹介するのは、FIBAランキング12位(7月26日時点)で日本と同じグループBに所属するブラジル代表だ。 文=小永吉陽子
■熾烈極まるOQTを突破、特徴は3ポイントの爆発力
日本とグループフェーズの最終戦で戦うのがブラジルだ。熾烈なOQT(世界最終予選)を制し、2大会ぶり16回目の出場権を手にした。 OQTでのブラジルはカメルーンに1敗を喫したものの、モンテネグロとフィリピンに勝利して決勝に進出。ホスト国であるラトビアとの決勝では、出足から3ポイント攻勢を展開し、第1クォーターで34-11と圧倒。最後まで崩れることなく94-69という大差で勝利した。昨年のワールドカップで5位に浮上したラトビアをアウェーの地で破った勢いは凄まじかった。 チームスタイルは身体能力とフィジカルの強さを生かし、トランシジョンの速さで勝負するチーム。OQTの決勝で披露したように、3ポイント攻勢(13/24本、54.2%)で畳みかける爆発力もある。東京五輪では世代交代中のために出場を逃しているが、昨年のワールドカップでは若手が成長して13位に浮上。そのワールドカップではラトビアに20点差で敗れているが、OQTでは逆に25点差をつけて勝利したことで自信をつけている。チームの完成度に粗さはあるものの、ダークホース的存在といえるだろう。
■Bリーグ勢2名がメンバー入り、懸念はPG陣のコンディションか
得点源は元NBA選手のブルーノ・カボクロ(KKパルチザン)とシュート力を誇るレオナルド・メインデル(アルバルク東京)。カボクロは昨年のワールドカップでリバウンド3位(平均9.2本)。OQTの決勝では21得点をマークし、ラトビア会場のMVPを獲得した。メインデルはOQTの決勝で3ポイントを爆発させ、20得点、9リバウンドをマーク。ラトビア会場のオールスター5に選ばれている。また今シーズンから仙台89ERSに加入するクリスティアーノ・フェリーシオ(208センチ)の高さと強いフィジカルも脅威だ。 懸念材料はポイントガードに負傷が続いていることか。経験豊富なラウル・ネトはOQTでは初戦以外はプレーせず、178センチと小柄ながら成長著しいヤゴ・サントスもOQTのファイナルで負傷して出場時間は短かった。そんな中でポイントガード陣を支えるのは、大会最年長の41歳、マルセリーニョ・ウェルタスだ。 OQT後はどこの国とも強化試合を行わずにフランス入りしたという情報が入っている。OQTでの勢いは凄まじかったが、オリンピックに向けてもう一度、ピークを作れるかカギを握るだろう。