ミサイル飛来でも演奏…日本人指揮者がウクライナで知った「音楽の力」 来年3月、現地オケと来日
「魂の音楽よ、日本に届け」を合言葉に、1月から資金集めに奔走。クラウドファンディングで2100万円以上を集めるなどし、オデッサ歌劇場オーケストラの日本公演の実現にこぎつけた。
公演は来年3月、神奈川、兵庫、北海道など計6カ所で実施予定。ただウクライナ政府の許可が下りていた旧ソ連で活躍した作曲家、ハチャトリアンの曲目はウクライナ関係者からの根強い反対で変更を余儀なくされた。吉田さんは「ロシアと関係があればどんな名曲でも演奏できないのが今の現実だ。ただ、困難な情勢にあるウクライナの音楽家たちを支援したいという気持ちには変わりなく、むしろ一層強まるばかりだ」と意気込む。
活動が評価され、今年9月に文部科学大臣表彰を受賞。今後は日本とウクライナの音楽交流に加え、日本を世界に貢献できる文化芸術大国にするのが「使命」といい、日本独自のオペラを制作するのが大きな目標だ。
「世界が混迷を極める中、音楽ができることは何か。それは時に共感であり、時に希望や感動を与えることだ」と訴える吉田さん。オデッサ歌劇場オーケストラと奏でる日本公演で、自身がウクライナで感じた「音楽の力」を全力で表現する。(桑村朋)