「最初から右投手は竹田祐選手という評価」DeNAスカウト部長が明かすドラフト全戦略…「優勝“し続ける”」ための“第3世代スカウティング”とは
選手の野球人生が濃密に交錯するドラフト会議。スカウト部長としてこの場に初めて参加した横浜DeNAベイスターズの長谷川竜也氏は、神妙な面持ちで次のように語る。 【独自写真】「肩外れそうじゃん…」クジを当てて喜びすぎな中日・井上監督と無念そうにリーゼントを光らせる三浦監督、日本シリーズ前日に1位指名竹田投手を訪問する三浦監督など舞台裏写真を全部見る 「これからベイスターズを背負っていく選手たちとの出会いは、言うまでもなく気持ちを高揚させるものでしたが、一方で縁があった選手、なかった選手も含め、我々の判断でその選手の人生が決まることを思うと責任感や緊張感の方が大きかったです。同時に新加入の選手がいるということは、選手枠の関係上、去らなければいけない選手もいるということです。このチームで勝ちたいと思い戦ってきた愛着のある選手たちに厳しい判断を下さなければいけないシビアさと表裏一体であることを、日々痛感しながら活動した1年でした」 契約を継続できない選手たちへ思いを馳せてのドラフト会議。華やかな場に見えるイベントだが、光があれば影もある。現場の人間は、相反する情を抱き職務にあたっている。 さて、今回のDeNAのドラフトは、1巡目にアマチュアナンバーワン左腕の金丸夢斗(関大)を指名するも抽選で逃してしまい、代わって竹田祐(三菱重工West)の交渉権を獲得した。本指名では6名の選手を指名したわけだが、編成トップである萩原龍大チーム統括本部長は「我々が欲しいと思う選手を欲しい順番で獲得できた」と、成果があったと語っている。 これを受け、長谷川氏も頷く。 「金丸選手を逃したことで戦略を変えるということはなく、当初から今年は左ピッチャーは金丸選手、右ピッチャーは竹田選手という評価でした。ですから我々としては順当に指名をしたという感覚です。全体を見ても、概ね上手くいったと思っています」 例によってDeNAの1巡目指名は、前日までに決まらず、ドラフト当日、直前の控室で萩原本部長が判断を下している。
“3度目の正直”で1位指名の苦労人・竹田
では各選手の評価を訊いてみよう。1巡目の竹田は、最速153キロのストレートに加え、空振りの取れるフォークの使い手であり、ゲームメイクに長けた安定したピッチングが魅力の投手。昨年は不調でドラフト指名を逃したが、大学時代も含め3度目の挑戦で晴れてプロ入りを果たす。 「能力の高さはもちろん、竹田選手は履正社高校、明治大学、三菱重工Westという勝つことを義務付けられているチームで、エースという称号を背負ってきた経験を評価しています。当然、履正社高校時代から注目しており、彼が苦しんでいた時期も知っていますし、谷を越え這い上がってきた姿も見ています。我々のスカウティングは能力だけではなく、プロとして戦える人間性を有しているのか、野球に取り組む姿勢も重要視しています」 ドラフト翌日の指名あいさつで長谷川氏は竹田と会い、次のことを伝えたという。 「先発をやるとしても143試合中、投げるのは25~26試合ぐらい。そのすべてで勝ちに行くのは当然として、自分が投げない120試合でチームをどのようにして勝たせるのか、そこにぜひ向き合って欲しい、と。彼はそういう素質を持っていると思いますし、その使命を背負うべき選手だと考えています」 チームの士気を高め、けん引できる存在。実力はもちろん、そこをも見極めた1巡目指名だったというわけだ。
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