お菓子の不二家 「飲料水」に参入 裾野に天然水ボトリング工場 夏場の売り上げ確保、地域防災にも協力
菓子メーカーの不二家(東京都文京区)は同社初となる天然水のボトリング工場を裾野市の富士裾野工場敷地内に新設し、飲料水事業に新規参入する。生産設備を導入し、来年12月の稼働を目指す。事業の多角化で新たな収益源を確保するとともに、南海トラフ地震をはじめとする大規模災害発生時に飲料水を地元に供給するなど、地域の防災力向上にも貢献する。 約50億円を投入し、工場敷地内の遊休地に鉄骨造平屋の製造棟と倉庫(延べ床面積計約9500平方メートル)を整備する。24時間稼働の工場の地下から採水し、2リットル入りのペットボトルを1時間当たり9千本生産する。東名、新東名の両高速道から近い立地を生かし、全国各地への出荷を目指す。雇用は地元で新たに15人程度を採用する方針。 同工場は1990年の開設以来、主力商品「ミルキー」や「ホームパイ」などの菓子を製造していて、2016年から地元の天然水を仕込みに利用している。 同社によると、菓子はクリスマスやバレンタインといったイベント需要が旺盛な冬季に売り上げが伸長する一方、夏季は閑散期。通年需要が見込める飲料水を展開することで、売り上げの季節間格差を是正する狙いがある。 河村宣行社長は裾野市で18日に開いた記者会見で、「能登半島地震を機に国内の水需要が急激に高まった。世界遺産富士山の地下からくみ上げた貴重な天然水を、ビジネスだけでなく社会貢献にも役立てたい」と述べた。 災害時に物資提供 不二家と裾野市が協定 不二家と裾野市は18日、災害発生時の物資供給に関する協定を結んだ。発災時に市の要請を受けて、同社が菓子類や飲料水を提供する。河村宣行社長と村田悠市長が協定書を取り交わした。村田市長は「防災用に菓子を備える人は多くない。災害時に菓子や水を得られることは市にとって大きな喜び」と話した。
静岡新聞社