元気さゆえに2階から地下へ落ちたか 災害救助犬はつねに危険と隣り合わせ
隙間は救助犬に託すしかない
そんなことを思い出しながら、居間に通じる穴の前を行き来するココを見守った。3分余りの捜索にまったく反応を示さなかったため、居間の捜索を終えることにした。 私は屋根から降りると、ココに「来い」と指示を出して呼び戻した。ココは滑りやすい瓦をトン、トン、トンとリズムよく降りてきた。 あたりは刻一刻と暗くなる。小雨が降る中、今度は駐車場のある玄関側に回った。 もうココにはリードも首輪もつけていない。私の後からゆっくりと着いてくる。 駐車場の前にくると崩れた1階の屋根と地面の間に隙間があった。人が入るにはあまりに危険だ。 身軽で俊敏な犬に捜索を託すしかない。 ココに隙間から入るよう腕を伸ばして、「探せ!」と指示を出した。相変わらずテンションの低いココは周囲のにおいをかぎなら、そろりそろりと中へ入っていった。 2階との隙間が数十センチしかない駐車場。その中をココはぐるりと回って探す。広さは車一台が駐車できるぐらいのスペースだ。しかし特に変わった動きはしない。 駐車場の捜索を終えるとココは、小さな隙間から吸い寄せられるように奥へと入って姿を消した。玄関の中に入っていったのだろう。私はココの捜索で何か物音でもしないかと耳を澄ませていた。