トランプリスク対応に一刻を争うのに…ゴールデンタイム失いかねず=韓国
韓国の弾劾政局が長期化する兆しを見せ来年も経済ロードマップが終わりの見えない不確実性に陥った。現在成立が難航している予算案問題のほかにも民生回復に向けた政策対応が急がれる状況で経済のコントロールタワーが事実上まひする見通しだ。 ひとまず韓国政府が推進してきた各種税法改正案がふさがっている。野党が強く反対する相続税最高税率引き下げなど相続・贈与税法改正案だけでなく、与野党が事実上合意した金融投資所得税廃止、暗号資産課税猶予なども先行きは不透明だ。金融投資所得税と暗号資産課税のいずれも所得税法改正案が年内に通過しなければ来年1月1日から施行される。 年末年始に実施される来年度経済政策方向をはじめ新年業務報告、中央官庁人事なども迷宮の中に置かれている。経済政策方向は企画財政部など経済官庁を中心に新年の経済状況見通しと政策方向を提示するもので、通常12月中下旬に発表する。 朴槿恵(パク・クネ)大統領(当時)に対する弾劾訴追案が可決された2016年12月にも企画財政部はかろうじて12月29日に2017年の経済政策方向を発表した。だが当時は「既存の政策の二番煎じ水準」という指摘を避けることができなかった。今回も政権がいつまで続くのか壮語しにくい状況であるだけに、中身のある政策方向を設計しにくいものとみられる。少子高齢化に対応する継続雇用など労働改革も全面中断状態だ。大統領直属の社会的対話機関である経済社会労働委員会は12日に開催予定だった継続雇用案用意に向けた討論会を来年1月に延期した。 「トランプリスク」にも適時に対応できないかもしれないとの懸念が大きい。トランプ次期米大統領は来年1月20日の就任直後からメキシコとカナダに25%の関税を払わせ中国に10%の追加関税を課すと公言している。米中貿易戦争も激しくなる可能性が大きい状況で韓国もやはり影響圏に置かれている。世界的供給網再編に関連した核心議題はほとんどが首脳級外交で調整される点から、弾劾政局の長期化は今後の韓国経済に深い影響を残すものとみられる。韓国としては第2次トランプ政権に対応する年末年始のゴールデンタイムを戒厳事態収拾で飛ばすことになった形だ。 カーネギー国際平和財団のイ・ジョンミン上級研究員は5日、財団ホームページへの寄稿で、韓国が朝ロ軍事協力とトランプ関税など地政学的・経済的挑戦に直面した状況で「現在の政治危機は回復力ある外交政策を立て国家安全保障脅威を緩和できる韓国の能力を弱めるだけ」と指摘した。