万博安全輸送、カギは人の流れ制御 時差出勤の周知必要 会場からの退出促すアナウンスも
4月に開幕する2025年大阪・関西万博では、会場がある人工島・夢洲(ゆめしま)へのアクセス手段が限られる中、人流を可能な限りコントロールできるか否かが安全輸送の鍵を握る。 大阪府市と日本国際博覧会協会は、混雑期の通勤時間帯での時差出勤や在宅勤務などを企業・団体に呼びかける「万博TDM(交通需要マネジメント)」を実施する。 昨年9月30日~10月4日に府市や協会の職員、TDMに協力する登録企業の従業員らを対象に試行したところ、夢洲に近い大阪メトロ中央線2駅での降車人数などに一定の低減効果はあった。 ただ登録企業からは、時差出勤や在宅勤務をするにあたり「取引先との調整が必要」といった意見や「万博期間中に公共交通機関が大混雑するとの認識が薄い」として、TDMの必要性をもっと周知すべきだとの指摘があった。 1万社を目標とする登録企業は昨年12月時点で約1600社と2割に満たない。府市と協会は、開幕直前の会場運営(テストラン)に登録企業の従業員を招待するほか、企業でTDMの出前授業を行うなどして協力を呼びかける。 来場時と同様に退場時の対策も必須だ。協会は夜間のイベント情報を鉄道事業者と共有し、混雑時の増便や終電延長などを要請している。 来場者向けには、会場内の大まかな人数をリアルタイムで把握できるシステムを導入。夜間にイベントなどがある日は、イベント目的でない人に早めの退場を促すアナウンスも検討している。 閉場は午後10時。協会関係者は「イベントの余韻にひたっている人にどうやって出てもらうか。大型テーマパークの手法も参考にしたい」と話している。(山本考志)