米、TSMC工場への66億ドル補助金を最終決定 政権交代前に
David Shepardson [ワシントン 15日 ロイター] - 米商務省は15日、米アリゾナ州フェニックスにある台湾積体電路製造(TSMC)の半導体工場に対する66億ドルの補助金支給を最終決定したと発表した。 補助金は、国内の半導体産業振興を目的として2022年に成立した「CHIPS・科学法」に基づくもの。 来年1月に次期大統領に就任するトランプ氏は台湾が米国の半導体ビジネスを盗んでいると主張し、同法を批判している。 半導体受託生産世界最大手のTSMCは4月、アリゾナ州工場への投資額を250億ドル増やして650億ドルとし、30年までに第3工場を増設することで合意した。 TSMCは28年に稼働予定のアリゾナ第2工場で、世界最先端の2ナノメートル技術を採用した半導体を製造する。また、アリゾナ工場で「A16」と呼ばれる最先端の半導体製造技術を使うことにも合意した。 レモンド米商務長官は、当初はTSMCが米国で旧世代の半導体を製造するのではないかという否定的な意見が多かったが、実際は米国で最先端の半導体を製造していると語った。 TSMCへの補助には、最大50億ドルの低利の政府融資も含まれる。TSMCはプロジェクトのマイルストーン達成ごとに補助金を受け取る仕組み。政府高官によると、商務省は年末までに少なくとも10億ドルをTSMCに支払う予定。 TSMCは一部の例外を除き、5年間は自社株買いを見送ることにも合意した。 ロイターは9日、米商務省がTSMCに対し、人工知能(AI)に使用される先端半導体の中国顧客向け出荷を11日から停止するよう命じたと報じた。 レモンド長官は、この命令について確認しなかったが、米国は中国と攻防を演じる必要があると発言。「TSMCの米国事業拡大に投資することは攻撃であり、どの企業にも米国の最先端技術を中国に販売させず、米国の輸出規制に違反させないことが防御だ」と述べた。