48年間「ラーメン1杯290円」を貫くラーメン店が【12時間ツーオペ営業】を実施する「シンプルな理由」
店舗の運営方法にも独自性があった
また、同店は店舗の運営方法も特徴的だ。 チェーン展開をするラーメン店は、店舗業務の多くをアルバイトスタッフが担うケースが多い。一方、同店では「24時間営業のうち12時間を”経営パートナー”の夫婦2人に業務委託」という独特なスタイルを敷いている(24時間営業は堅粕店と川端店の2店舗)。 「パートナーと粗利益の折半が基本です。300万円の売り上げがある場合、30%が原価とすると、売り上げの70%である210万円が粗利益になります。その折半で、105万円ずつを会社と経営パートナーで分ける。そこから本部費用を30万引いて75万円が受け取れるような仕組みです」 しかし、ラーメン店であれば昼時のピークタイムともなると、2人で店を回すのは難しいように思える。 「うちが他のラーメン店と違うのは、ピークとアイドルタイムに大きな差がないことです。ピーク時に大行列になることもなく、逆に飲食店ではアイドルタイムと言われる時間帯にも、ずっとお客さんが入ります。だから、2名体制でも問題なく運営ができるのです」 実際、筆者が平日の15時前に同店を利用した折にも、10人ほどの客が食事をしていた。 澄川氏の信念の通り、「はかたや」は県民の日常食の機能を果たしているのだろう。
外国人スタッフは会社の財産
基本的には経営パートナーの2人が店舗業務をこなす中、一部の大型店ではアルバイトを雇い、外国人スタッフが活躍している。 そこには、世間一般で見られる人手不足を埋めるための労働力だけではない、雇用の意図があった。 「日本人同士は、言葉が通じるので意思が通じていると感じますよね。でもそれは奢りです。事実、誤解や齟齬はたくさん生まれています。でも、外国人とのコミュニケーションでは言葉が通じない前提なので、伝える工夫をする。そして、通じたか?の確認までします。この、相手のことを想像し考えを読み取ろうとする努力は、自分の中の固定された価値観を変えてくれます。働く人の価値観のアップデートが会社の成長につながるわけです」 さらに、外国人スタッフの存在が同社の将来の展望にも重要な役割を果たすと澄川氏は言う。 「いずれは、『はかたや』のグローバル化を考えています。今アルバイトで働いていてくれている外国の人たちに日本の文化ごと学んでもらって、それを母国に持ち帰って海外の『はかたや』をやりたいのです」 290円で提供される「はかたや」のラーメンは、同社の売り上げだけではなく、福岡の日常食としてのラーメン文化を継承している。その背景には、社長の強い信念と数々の工夫が隠されていた。 感動するような高級ラーメンもいいが、福岡に来た際には290円の「ソウルフード」を食べて見てはいかがだろう。 〈取材・文/Mr.tsubaking〉 【こちらも読む】『「ラーメン1杯1600円」の衝撃! 超人気店の突然の値上げに9割のラーメン店がついていけない理由』
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