『ドラクエ3』カンダタを改心させた? 小説版「オルテガ」の驚愕エピソード・3選
オルテガの魅力は「年齢制限なし」!?
名作『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』における勇者といえば、まず最初に主人公を思い出す人が多いことでしょう。しかし、主人公に負けず劣らず……いえ、その人生経験の豊富さから、同等以上に勇者として慕われている存在がいます。 【画像】え…っ? 「筋肉かっこよ…」「よく見たら履いてないかも」 こちらがパンイチとは違う「HD-2D版オルテガ」のキャラビジュアルです それは、主人公の父親である「オルテガ」です。主人公に先立って旅立ち、各地を巡れば彼の存在がささやかれます。主人公の冒険は、父の足跡を辿(たど)る道のりでもありました。 ゲーム版では、RPGというゲーム性もあり、「オルテガ」の旅路について詳しく語られていません。しかし、高屋敷英夫氏がつづった小説版『ドラクエ3』では、オルテガが各地を巡り、さまざまな人物を魅了して影響を与えた様子も描かれています。 ゲームだけでは分からないオルテガの「人たらし」ぶりとは、どんな様相だったのでしょうか。 ●少女の将来を、たった一度の出会いで左右する! 小説版『ドラクエ3』の主人公「アレル」には、心強い仲間たちがその旅に同行しました。そのひとりであり、最初に仲間となったのは、女戦士の「クリス」でした。旅立ち時点の彼女は23歳で、城内で叶う者はないほどの戦士です。 そんなクリスがまだ12歳の頃、すでに優れた戦士としてオルテガは名を轟かせていました。そんな英雄ともいえる人を目の当たりにした時、クリスはすっかり舞い上がってしまい、「オルテガさまのような立派な戦士になります!」と口走ってしまいます。 まだ少女に過ぎなかった彼女の言葉を、しかしオルテガは正面から受け止め、「そうか、しっかりがんばれよ」と優しく頭をなでます。この出来事をきっかけに、クリスは戦士の道を目指し、アレルに同行するほどの腕前になりました。 まだ12歳という少女の未来を左右してしまったオルテガの影響力は、さすがのひと言です。
オルテガの魅力は男女を問わず! あの女王も骨抜きに?
●あの盗賊を改心させた、オルテガの「まなざし」 『ドラクエ3』の冒険では、数多くのキャラクターと出会います。それは小説版でも同様で、ゲームでもおなじみの「カンダタ」との遭遇も外せないエピソードのひとつです。 盗賊家業を営むカンダタは、アレル一行と互角の戦いを繰り広げますが、紙一重の差で敗北します。しかし敗北よりも、アレルの口から告げられた「オルテガの死」に衝撃を受け、愕然とした表情を浮かべました。 それからしばらく経った頃、旅を続けているアレルの耳にカンダタの動向が届きます。なんとカンダタは、オルテガの死がこたえたため、盗賊から足を洗ったとのこと。そして、カンダタがオルテガを崇拝していたことも知らされました。 かつてカンダタは、オルテガの剣を盗もうとしましたが、あえなく失敗します。この時、「光り輝く自信と威厳と誇り。そして、限りない優しさ」にあふれたオルテガの目を見て以来、カンダタは盗賊家業にむなしさを覚え、彼の死を知った時には未練もなく盗賊家業から足を洗いました。 まなざしだけで、カンダタを改心させてしまうオルテガ。男女を問わぬ「人たらし」ぶりが、これでもかと伝わってきます。 ●6年経ってもなお、女王は腕輪を身に着けて…… このようにオルテガは、少女から往年の男性まで、性別や年齢を問わず魅了してきました。当然、大人の女性であっても、オルテガの「人たらし」ぶりからは逃げられません。 イシスを治める若き女王は、21歳の時にオルテガと出会い、ひと目で心を奪われました。オルテガに妻子がいるのも知っていたのに、愛する気持ちが止められないほどに。 そんなオルテガが旅立つ日、女王は彼に愛を告白し、留まってくれるように懇願します。しかしオルテガは、「わたしには大事な使命がある」と告げ、「星降る腕輪」を渡して国を去りました。 27歳になったいまも、女王はその腕輪を身に着けており、オルテガを思い出して嗚咽する──そんな姿が小説版『ドラクエ3』で描かれています。 うら若き女性も恋に落とし、彼女の愛を受け入れないものの、「星降る腕輪」を渡して去るイケオジぶり。女王が魅了されるのも、無理のない話でしょう。
臥待