改修工事費に約45億円 1972年に開館の鳥取県立博物館 耐震補強や設備更新で工期は約3年2カ月を見込む
鳥取県教育委員会が29日、開館から50年以上が過ぎた県立博物館(鳥取市東町2丁目)の改修工事費が約45億円に上るとの概算を明らかにした。耐震補強や設備更新などが必要で、工期は約3年2カ月を見込み、改修中は休館する方針。工事費は物価や人件費の高騰で膨らむ可能性もあるとしている。 【写真】鳥取城二ノ丸跡から見下ろす鳥取県立博物館
工事開始時期は現時点で未定。国史跡・鳥取城跡内に位置するため、文化庁との事前協議に向けて基本設計や具体的な計画案の検討を進めている。工事費の内訳は、耐震補強約27億円▽設備更新約11億円▽防火など法改正に伴う対応約7億円。県費や国の補助金の活用を検討する。 耐震補強は、全5棟のうち4棟が大規模地震で倒壊の恐れがあり、耐震壁の新設や床面を補強。最低でも震度6強程度の地震にも耐えられるようにする。設備更新は発電や空調の機材を想定。建築当時から消防法などが改正されたため現行法に合わせ、防火シャッターの改修や玄関ホールの天井補強にも取り組む。 今後、コンクリートの劣化進行度の分析や収蔵品の移転方法を検討するほか、関係者の意見を踏まえて改修案を詰める。29日の県議会総務教育常任委員会(語堂正範委員長、9人)で、県立博物館の漆原芳彦館長は「複数案検討し、経済面でも最も優れた案を採用している」と説明した。
県立博物館は1972年に開館。全5棟はコンクリート造りで、地下1階から地上3階建てで構成する。延べ床面積は約9700平方メートル。老朽化に伴い2023年8月から劣化状況や改修の設計に向けて調査を進めていた。