日本は生物多様性が危うい場所? 私たちにできることは【5月22日は国際生物多様性の日】
5月22日は、生物多様性の保全について、みんなで考える国際生物多様性の日。一度は聞いたことがある「生物多様性」。だけど、それが失われるとなにが起こるのか、なぜ大事なのか、ちゃんと知っている人は少ないかもしれない。その生物多様性がいま、急速に失われている⁉ このままだと地球はどうなる? 私たちにできることは? そんな疑問を解消すべく、生物多様性の回復をミッションに掲げるWWFジャパンの専門家に質問! 生物多様性は、私たち人間を含むすべての生命の「生活の基盤」なんだとか。 地球の未来を守るカギ「生物多様性」の基礎を理解して、いまからアクションをおこそう!
Q1. そもそも生物多様性ってなに?
地球上の生き物は誕生して以来、さまざまな自然環境に適応するために進化しながら、長い時間をかけて、互いにつながりあい、支えあって生きてきた。私たち人間も、その一部。私たちにとっての「おいしい食べ物」「おいしい空気」「住みよい環境」「愛らしい動物たち」「息をのむ絶景」などは、そんな長い時間を経て、生み出される産物。私たちが、この地球の豊かさを感じることができるのには、人間や動植物、自然や気候など、地球上のさまざまな生命や環境の健やかな調和が深く関係している。この調和が、生物多様性のキーポイント。 ところが、いま地球では、毎年1,000~1万種が絶滅しているといわれており、たくさんの生き物にとって、地球は住みにくい場所になっている(WWFジャパン, 2019)。 この現象は、これまで起こってきた生き物たちの進化や適応とは、わけが違う。なぜなら、生き物が絶滅するスピードが圧倒的に速いから。その速さは、人間が関与しない状態で生き物が絶滅する場合の、1,000倍から1万倍になるともいわれている(WWFジャパン, 2019)。私たち人間の行動が、意図せず、ほかの生き物にこんな影響をあたえているなんて、驚愕!
Q2. なぜ、いま生物多様性が大事?
この生物多様性の重要性を理解するうえで切り離せないのが、気候変動。気候変動とは、温暖化が進むことで、地球全体の気候が大きく変わること。それによって、北極や南極の氷が溶けて海面が上昇したり、台風や大雨が頻発したりするなど、自然環境や私たちの生活に大きく影響をあたえているのは、みんなも知っていること。 地球温暖化が進むと、食べ物が採れなくなったり、住む場所がなくなったりと、生きられなくなる動植物が出てくる。一方で、温暖化によって生息域を広げ、数を増やすものも現れる。すると、長い時間をかけてつくってきた絶妙なバランスのうえに成り立っている動植物の調和が乱れることに。 たとえば、ニュースなどで聞くサンゴが死滅している現象も、地球温暖化による海水温の上昇が原因の一つ。サンゴは、多くの海の生き物たちにとっての産卵したり、生活したりする場所、つまり「おうち」だ。サンゴがいなくなることは、ほかの生き物が家を失い、そのいのちも危うくすることを意味する。ほかにも、サンゴはCO2を吸収して光合成を行い、多くの酸素を生み出してくれる存在。森林と同じように、気候の安定に役立っている。 つまり、生物多様性を守ることは、地球温暖化を止めることにもつながっている。