外国人の安定雇用には日本人の「平等意識」を捨てよ
この会社では、ミャンマー人の継続採用を検討しており、継続採用の際には、面接官として現地に渡航することで、重ねて一時帰国できる仕組みもつくってあげようと協議を進めています。 ほかにも、外国人従業員の気持ちを考えたうえで会社のルールを変え、地方で安定雇用に成功している北陸地方の介護事業者をご紹介したいと思います。 都会と比べると給与は低く、かつ都心と同レベルの給料を支払うのは難しい。それでもせっかく育成した人材が、技能実習が終わり特定技能に切り替わる転職可能なタイミングで会社を辞めてしまうことが起きていました。
そのような中、介護技能実習生として働く男性の1人から「親戚や彼女を採用してもらうことはできないか」と受け入れ企業に相談がありました。受け入れ企業は当初、「縁故採用なんてすれば、日本人からも不平不満が生じる」と悩んでいたそうです。 早速、本人にヒアリングすると「長く日本で働きたいと思っており、もし受け入れ企業が彼女や親戚の受け入れを進めてくれるのであれば、責任をもって彼らのサポートをする」と言います。
そして「長く働くことでこの企業に恩返ししたい。気心知れた彼女や親戚が身近にいれば、わざわざ知らない人がいる都心に行かなくても、ここで生活を続けられる」と、地方で安定して働くという希望を持っていたようです。 最低賃金の高い都会を目指す人材が多い中、いかに地方に定着を進めるか頭を抱える企業も多いですが、こうした「平等破り」は、地方企業での定着に向けたヒントになります。 このように一見、日本人から見ると日本人と外国人社員の間で「不平等だ」と思い、会社のルールで外国人の主張を受け入れられないと思うことはあります。しかし、それでも少し耳を傾けてあげるだけで、課題が解決できる例はたくさんあります。
理解ができる範囲での「特別扱い」。日本人と平等だからというものさしでは、社内の問題をすべて解決できるわけではありません。それでも、わが日本は「おもてなしの国」ではありませんか。そうした、ちょっとした気遣いと特別扱いが、優秀な外国人にとって優しい社会になれるのです。 ■ミャンマー人は「口コミ」で職場を探す 日本人はアジア諸国の事情も知らず、「外国人は日本にあこがれて、日本企業が募集をかければ勝手に外国から就業希望者が来てくれる」「日本を選んでくれる」と思っている経営者などが少なくありません。