過去にも虐待死が。法改正後、急ピッチで児童相談所開設目指す東京23特別区
人口規模は中核市と同程度、なぜ特別区は早く準備進んだか
東京23区の大半は、人口が20万人超。人口規模だけを見れば、東京23区のほとんどは中核市と同レベルの自治体と言えます。特別区が、児相の設置権限を求めることは自然な流れでもありました。 「児相設置の細かい部分を詰めるのはこれからですが、すでに東京23特別区には『子ども家庭センター』という専門窓口があります。それら既存の施設を改修するなどして、児相として活用することを模索しています。各区でハード面の整備を苦慮している部分もありますが、大きな心配はありません。専門職員の研修は、東京都のほか隣県の神奈川県や埼玉県、千葉県にもお願いしている状況です。たくさんの職員が研修を受けることになるので、いっぺんに受け入れてもらうことは難しいのですが、人材不足を理由に児相が設置できないという心配はありません」(同)。 厚生労働省は児童虐待の防止策として、早期発見・早期対応を打ち出しています。市町村および特別区は、住民にもっとも身近な自治体です。町内会や学校、民生委員などとも密接に連絡を取ることができる、連携して素早く動くことができるという強みがあります。そうした背景から、特別区は児相の設置権限を希望し、ようやく実現した形です。 特別区の児相設置は、子供たちの犠牲を減らす第一歩に過ぎません。行政が取り組む“子供たちを守る社会づくり”に終わりはないのです。 小川裕夫=フリーランスライター