バロンドールは「世界最高のサッカー選手」、今年は誰に? 混同されやすい二つの年間最優秀選手賞、その歴史をひもといてみた
投票基準は(1)個人のパフォーマンス(2)所属チームの成績やタイトル(3)フェアプレー、と定められている。FIFAランキング上位100カ国・地域から1人ずつ選ばれた記者が候補の30選手の中から1~5位に順位をつけて投票。自国選手にひいき目な票を入れる記者も珍しくないが、プロフェッショナルな視点が求められ、ガルシア編集長は「誰に投票するかは自由だが、基準と照らし合わせて一貫性がなければ翌年は投票者を変えるかもしれない」とくぎを刺す。以前は170人以上いた投票者を昨年から100人に絞ったのもそのような理由からだ。世界中の代表監督、主将、記者、ファンが選ぶFIFAの最優秀選手は「人気投票」の色が濃くなることもあり、バロンドールの格式を保つためにも厳格な条件を設けて差別化を図っている。 昨季はシーズン途中にW杯カタール大会が開催される異例の日程だったため、選定の焦点は期間にして1カ月足らずのW杯での活躍に重きを置くか、年間を通してのプレーをより評価するかに集まる。シーズン全体を見れば欧州チャンピオンズリーグ(CL)など主要3冠を達成したマンチェスター・シティー(イングランド)で、公式戦53試合52ゴールという驚異的な数字を残したノルウェー代表FWアーリン・ハーランドが飛び抜けている。「怪物」と形容される23歳のストライカーはフランス・フットボール誌のインタビューで「今年はチャンスがあると思う」とバロンドールへの意欲をのぞかせるが、ノルウェーがW杯に出場していないというマイナス材料もある。今年のFIFA最優秀選手の選考対象期間はW杯カタール大会後の昨年12月19日からの8か月間と変則的でハーランドの受賞が有力視される。
一方、バロンドールは昨年8月からの1年間が対象。カタールで抜群の輝きを放ってアルゼンチン代表を優勝に導いたFWリオネル・メッシのインパクトが強く、一部の欧州メディアでは2年ぶりの受賞が既に決まったとも報じられている。 表彰式はより多くの選手が参加できるよう、欧州CLが行われない週の月曜日に設定。米プロリーグMLSのマイアミに所属するメッシも、プレーオフ進出を逃してシーズンが終了したため出席できる見通しという。うわさ通りに受賞すれば欧州以外のクラブ所属選手としては初めての栄誉。自身が持つ最多記録を更新する8度目の栄冠となり、36歳のスーパースターがまた一つ歴史を塗り替える夜となる。