コーラとバーガーでシンプルに祝福 中国の若者たちが続々と「マクドナルドで結婚式」を挙げている理由
中国では古くから、結婚に大金をかける風習がある。 中国メディア「シックス・トーン」によれば、2020年、同国での平均的な結婚式の費用は17万4000元(約372万円)だった。これは共働きをする夫婦の平均月収の8.8倍にあたる。さらに、その費用は2023年までに33万元(約706万円)にまで上昇したという。 米誌「中国が日本化するのだとしたら、それは幸福だとしか言いようがない」 そこで中国のZ世代がおこなっているのが、伝統的なものからはかけ離れた結婚式だ。形式ばっていて費用のかさむ式はやめ、カラオケや火鍋レストラン、さらにはマクドナルドのようなファストフード店で愛を誓っている。 シックス・トーンによれば、こうした「型破りな結婚式」は中国で急速に広まっている。2024年3月の調査では、「15~24歳の中国人の80%が『ミニマリストな挙式』を支持していることが明らかになった」。 香港紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」は、このトレンドについて「新婚カップルは延々と続く乾杯などの煩雑な儀式を避けることがでる。そして屋外での結婚式とは違って天候の心配もなくなり、費用も抑えられる」と報じた。 若者たちのニーズに応えるべく、中国で人気の飲食チェーンは結婚式向けのサービスを展開している。 香港のマクドナルドでは「マックナゲットで作ったブライダルブーケを含む385ドル(約6万円)のウェディングパッケージ」を用意しているという。また、中国生まれのハンバーガーチェーン「ウォレス」は、5~7人用の「79元の結婚祝い食事パッケージ」をはじめた。 実際に格安ウェディングをおこなったカップルは、チェーン店での門出に満足しているのだろうか。 広東省南部出身で30代の女性は、パートナーとマクドナルドで結婚式を挙げた。式当日、ゲストはコーラを飲み、ハンバーガーとフライドポテトの食べ放題を堪能したそうだ。費用は1万元以下で、「本当に忘れられない思い出になった」と語っている。式代が安く済んだことで、2人はギリシャへの新婚旅行を楽しむこともできた。 中国のソーシャルメディアではいま、多くのユーザーが「3つのNO」ウェディングが支持されているそうだ。リムジンの車列に、花嫁や花婿の付き添い人、花婿が花嫁を実家まで迎えに行く仰々しい儀式──そうした手間や大金がかからない、シンプルな結婚が好まれつつある。 経済的事情や文化の変化が、このトレンドの背景にはあるようだ。
COURRiER Japon