柳亭小痴楽 顔見世興行初トリ 11日から浅草で「背中を押しに足を…」豪華出演も 入門20周年の節目
落語家の柳亭小痴楽(36)が11日から20まで浅草演芸ホールで行われる顔見世興行「寿令和7年二之席」でトリとなる“主任”を務める。昨年まで同席の主任は落語芸術協会の参事の三遊亭小遊三(77)らが務めてきたが、今年は引き継ぐ形で、小痴楽が初めて担う。 【写真】TBS日曜劇場に登場した柳亭小痴楽 落語ファンは大喜び 「新年の顔見世興行のため、出演者は普段の寄席より多く、“落語芸術は今年、こういった顔ぶれで楽しませます”というラインアップになります。そういった興行の主任を任せていただけるのは本当に身分不相応なのですが、いつかふさわしい人間になりますので、その第一歩として背中を押しに足を運んでいただけたらと思います」と来場を呼びかけた。 出演者となる“顔付け”にも可能な限りこだわった。小痴楽が所属していた二ツ目ユニット「成金」メンバーにも声をかけ、6人の出演が決定。 中でも仲入りの出番では人間国宝の講談師・神田松鯉が出演を快諾し、交互出演で、その弟子の神田伯山が15日~19日まで名古屋で「清水次郎長」の連続物読み公演を行うが、名古屋入り前までの出演が決まった。 交互出演枠にも工夫を凝らし、最後から3番目の出番で、その日の客層や雰囲気、ほかの出演者の演目を考慮して臨むため、「腕が問われる」といわれる“ヒザ前”には師匠の柳亭楽輔が出演。「うちの師匠は陽気で、弟子の僕が言うのもはばかれるが、最高にこの位置が似合います」と太鼓判を押した。 小遊三から受け継いだ「羽団扇(はうちわ)」も高座にかける予定だ。小遊三に稽古をつけてもらった同演目は、初夢を見る夫婦の噺で新春にふさわしい一席だ。「小遊三師匠がやってきたトリだし、初席ということでやりたいと思っています。普段は10日間の公演で日替わりですべて異なるネタをやるようにしているのですが、羽団扇は初日、中日、楽日と3回くらいやらせてもらうかもしれません」と構想を明かした。 2025年は小痴楽にとって入門してから20周年の節目にあたる。新ネタの取得や変わり種興行の実施にも意欲を見せる。「毎年言っていますが、ネタ数を増やしたいと思っています。笠碁、御神酒徳利、藪入り、妾馬、心眼…など新しいネタを増やしていきたいですね。藪入りは子供も生まれて、気持ちが分かるようになったかもしれない」と新ネタへの思いを語った。 特に妾馬は何としても仕上げたい一席という。「僕は(立川)左談次師匠の妾馬が好きで、THE 男はつらいよなんですね。泣かせるのではなく、ただ滑稽話をやって、噺が素晴らしくて泣きそうになるけど、泣かせない。あれが一番かっこいい。最近はそういう妾馬に出合わないので、自分がそうなりたい」と妾馬の美学を力説した。 自身の20周年への第一歩。「今年はコロナで独演会になってしまった襲名披露興行に変わる興行もしてみたい」。浅草から節目の年のスタートダッシュを目指す。