2023年に実家を相続しましたが「相続登記」していません。父の代から祖父名義なのでそのままでも問題ないでしょうか?
不動産の所有者(名義人)は、登記簿謄本の記載によって決まります。そのため、相続で不動産を取得したときには、相続登記により名義を書き換えなければなりません。 しかし、相続した不動産の名義が、何代も前のままだったという経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。そこで本記事では、相続登記をせずに放置するとどのようなリスクがあるのか解説します。 ▼子ども名義の口座に「月3万円」ずつ入金してるけど、将来口座を渡すときに「贈与税」はかかるの? 非課税にすることは可能?
相続登記は「義務」で罰金もある!
これまで、相続で不動産を取得しても相続登記は義務ではありませんでした。相続登記には登録免許税といった税金や、司法書士や弁護士に手続きを依頼したときの報酬などの費用がかかります。 そのため、価値が高くないと思われる土地が放置され、結果として所有者不明の土地が全国各地で増えてしまいました。こういった状況を解消するため、法改正により2024年4月より相続登記は義務化されました。 ■相続登記義務化の内容 相続人は、土地の取得を知ってから3年以内に登記申請をする必要があります。 違反すると10万円以下の過料に処されます。義務化以前に発生した相続についてもさかのぼって適用され、施行日もしくは相続を知った日のどちらか遅いほうから起算して3年以内に申請しなければなりません。
実はデメリットだらけ相続登記しないリスク
相続登記しないことによるリスクは、罰金だけではありません。本章で、どのようなデメリットがあるのか見ていきましょう。 ■不動産の売買や利用ができない 不動産の売買や不動産を担保にして融資を受けられるのは、不動産の所有者に限ります。登記していなければ所有者であると証明できず、不動産売買や利用ができません。 ■差し押さえのリスク 登記されていない不動産は、法定相続人全員の共有財産とみなされます。 このような状況で他の相続人が、借金滞納などの状態に陥ると、不動産が差し押さえられる恐れがあります。 ■権利関係が複雑化する 相続登記をしないままで次の相続が発生すると、法定相続人が増えることになります。すると、権利関係が複雑になり、登記手続きがさらに難しくなるので注意が必要です。 あとから登記しようと思っても、手続きに必要な戸籍謄本や住民票の除票は、時間がたつと廃棄される可能性があります。そのため、相続が発生したら速やかに相続登記の手続きをおこないましょう。 ■管理責任を巡るトラブルのリスク 相続登記されていない不動産は、適切に管理されていないことが少なくありません。そして、建物の老朽化や放置を原因とする事故が発生すると、不動産の所有者に管理責任が生じます。相続登記されていない不動産は権利関係が複雑化していることがあり、責任の所在を巡りトラブルになる恐れがあります。 さらに、放置された不動産が行政から「特定空き家」に認定されると、固定資産税や都市計画税で受けられる住宅用地の適用除外となってしまいます。すると、不動産にかかる税金も大幅にアップするので注意しなければなりません。
まとめ
相続登記を怠ると、不動産の売買や利用ができず、差し押さえや権利関係の複雑化、管理責任のトラブル発生といったさまざまなリスクがあります。 このほかにも、固定資産税が大幅に増加するリスクもあるため、相続が発生したら相続登記を迅速におこない、不動産を安心して活用できるようにしましょう。 出典 東京法務局 相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始)~なくそう 所有者不明土地!~ 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部