東大生に「老害」と言われないために、議論をするときに年長者が心がけるべきこととは
元国税職員さんきゅう倉田です。好きな言葉は「増税」です。 昨年から東京大学に通っています。現在2年生。 【表】東京大学の合格者のうち、上位の出身校〈中高一貫校〉は? 職業を聞かれれば「芸人です」と答えていますが、一日のほどんどを大学生として過ごしています。授業を受け、図書館で課題をやり、家に帰ってフランス語の勉強をし、たまの休みはクラスメイトと出かけて、謳歌しています。 クラスメイトとは20も歳が離れていますが、年齢差は感じません。無論、ぼくが感じないだけで、向こうは感じているでしょうが、それでもその差をなるべく感じさせないように発言に気をつけています。 例えば、自分の経験則のみを論拠にして議論を進めるようなことはしません。一般に、そう言う人は「老害」と呼ばれるでしょう。 大学生にはその経験則がないので、否定も肯定もできない。そういう議論は不誠実なので、必ず客観的な根拠を示す。多くの場合、一般化されている事実や研究を引き合いに出します。 そのような慎重さは、東大生にとって必須のスキルです。曖昧で客観性のない主張や明らかに事実と異なる言説は、議論する価値がないものとして排除されます。 最近、議論するまでもなく排除したいと思った言説は、「インボイス制度の登録が任意であることを政府は隠していた」というものでした。
素人の事実と異なる言説
ぼくの尊敬する先輩が、「インボイス制度の登録が任意であることを政府は隠していたんじゃないか。パーティ券裏金問題が明らかになって、国民の目をそらすために、今になって任意ではないと言い出したんじゃないか」とぼくに確認の連絡をくれました。 こういうことはよくあります。おそらく、ぼくの愛してやまない先輩の友人が、事実確認もせず適当なことを吹聴したのでしょう。先輩は純粋だし、友人を信頼しているので全面的に信用します。 一方で、ぼくが論拠を持って説明をしてもすぐには信用してくれません。 このように最初に聞いた情報を強く信用する傾向は、誰にでもあるでしょう。これを「初頭効果」と言い、様々な研究が行われています。 さっそく東大生っぽく述べてみました。 「そういう傾向ってあるよね」と経験則だけで話すのではなく、こうやって「初頭効果」という名前を示すだけでも、その話の信用性は十分高まります。可能であれば、論文や研究の概要を話してもいいかもしれません。 さて、先輩に対し、「その話は間違っています」と否定することは簡単ではありません。先輩の尊厳を傷つけるし、先輩の友人の名誉が失墜します。 結局、かなり遠回しに、婉曲的に、曖昧に否定して、ぼくの信用が失墜してしまいました。 気になると思うので、インボイスに関する事実を述べておきます。