障害年金の未納者特例を10年延長 社保審部会が報告書
障害年金を受給できるよう保険料未納者を救済する特例について、厚生労働省は10年間延長する方針を固めた。12月24日の社会保障審議会年金部会(座長=菊池馨実早稲田大法学学術院教授)の報告書案に盛り込み、大筋で了承された。障害年金をめぐっては「障害厚生年金の初診日要件」も議論したが、改正は見送る。 特例は保険料を長期間納めていなくても、初診日のある月の前々月までの1年間に未納がなければ納付要件を満たすとする救済措置で、2026年3月31日までの時限措置とされている。 この特例がなくなると生活の前提が崩れる人もいるため、厚労省は特例を10年間延長しつつ、受給の実態を把握する。 ■初診日要件改正見送り 会社勤めをしている時に発病し、退職して国民年金に移った後に初診日がある場合、受給額は相対的に低い国民年金になる現行制度は不合理だとする立場から、部会はこの「初診日要件」の改正も議論したが、社会保険原理との関係整理が必要だとして延長保護などの導入を見送る。 部会は年金をめぐる男女差の是正や働き方に中立的な制度に改めることを基本的なスタンスとし、多岐にわたる論点を議論した。 最大の論点は、将来の基礎年金を底上げするため、マクロ経済スライドによる給付調整を早期に終わらせること。厚生年金の積立金を底上げに必要な財源の一部とする。 これについて報告書は「賛成意見が多かった」としつつ、「保険料を負担している労働者や事業主の理解が得られるか」という慎重意見も紹介。「部会としての意見はまとまらなかった」とした。