市場のベテランはS&P 500が2020年代に66%上昇すると予測(海外)
市場のベテランであるエド・ヤルデニは、S&P 500の予測値を「2020年代末までに10000」へとに引き上げており、現在の水準から66%の上昇を見込んでいる。 ヤルデニは、トランプの政策と地政学的紛争が終息する可能性を背景に、株式市場の熱狂が続くと話している。 彼の予測は、ウォール街の主要な専門家たちの間で高まっている楽観的な見通しと一致している。 市場のベテラン、ヤルデニ・リサーチ社長のエド・ヤルデニ(Ed Yardeni)によると、ドナルド・トランプ(Donald Trump)の勝利によって引き起こされた株式市場の熱狂は今後も続く見込みだという。 ヤルデニは2024年11月11日、S&P 500種指数が2020年代末までに10000に達し、現在の水準から66%上昇するという従来の予測を繰り返し述べた。また、2024年末の予測を6100ポイントに引き上げており、1.8%の上昇を見込んでいる。 長年の市場の予測者であるヤルデニは、トランプの勝利と共和党が議会を支配することが、1920年代に起こったのと同じような「狂騒の20年代(Roaring 20s)」のシナリオの確率を高めて株式市場を活気づけ、実際に株式市場にとって2024年最良の週となったと指摘した。 同氏は、2024年11月5日から10日にかけての大幅上昇の原動力となった、 将来に対する主観的な期待である 「アニマル・スピリット(経済活動にしばしば見られる主観的で非合理的な動機や行動)」は、次期大統領がよりビジネスに有利な政策を発表するにつれ、投資家心理を後押しし続けるだろうと述べている。 「我々はこうした予測が『狂騒の20年代』のシナリオと一致していると考えている。このシナリオは、トランプ再選後の経済政策から生まれるであろう『アニマル・スピリット』によって後押しされている」とヤルデニは書いている。 トランプの勝利によって、S&P 500、ナスダック(NASDAQ)、ダウ平均はそれぞれ最高値を更新し、「トランプ・トレード」がビットコイン(Bitcoin)からドル、テスラ(Tesla)株まであらゆるものを急上昇させた。 投資家たちは、トランプの第2期政権が規制緩和や減税など、企業に優しい政策をもたらし、それが企業利益を押し上げると予想している。 その結果、ヤルデニは業界アナリストたちがS&P 500の収益予測を引き上げると予想しており、自身の予測も2025年を275ドル(4万2625円)から285ドル(4万4175円)、2026年については300ドル(4万6500円)から320ドル(4万8000円)に上方修正したと述べている。これらの予測は、トランプが法人税率を21%から15%に引き下げるという前提に基づいていると話している。 同氏はウクライナ戦争や中東での紛争が予想よりも早く解決すれば、市場の楽観的なムードがさらに強まる可能性があるとも述べている。 しかし、ヤルデニは警告もしている。ウォール街の楽観的な雰囲気や、一部の大企業株の過大評価が続くと、株価が急騰しすぎた場合に後から厳しい下落が来る可能性があるというのだ。 「アニマル・スピリットは、過剰な楽観主義と結びつき、株式市場の急騰を引き起こすことがあるが、それが行き過ぎると最終的には暴落の引き金となる可能性がある」 「現在の楽観的な市場センチメントの中で深刻な弱気市場のリスクは見えていないが、この10年の最後までに価格が一時的に下落すると予想している」とヤルデニは話している。
Kelly Cloonan