“ガリレオタッグ”は『嘘解きレトリック』をどう描く? 推理モノの“実写化”を考える
原作の設定を大きく変更してヒットした『ガリレオ』シリーズ
キャスト陣はもちろん、ドラマファンからも大きな期待が寄せられているのが『ガリレオ』シリーズでも知られる演出・西谷弘とプロデュース・鈴木吉弘のタッグであるということだ。『ガリレオ』シリーズは東野圭吾による推理小説『ガリレオ』シリーズを映像化したもので、2007年にフジテレビの「月9」枠で第1弾が放送されると、これまで恋愛が主流だった月9の中で、推理モノという新しいジャンルで話題を呼んだ。その後も、ドラマシリーズは第2期まで放送され、映画は『容疑者Xの献身』(2008年)『真夏の方程式』(2013年)『沈黙のパレード』(2022年)と3作が公開された。 『ガリレオ』シリーズといえば、原作から大きな脚色が行われており、例えば、原作では湯川学の相方は草薙刑事という男性であるのに対して、ドラマ版では女性刑事の内海薫に変更されているほか、一部の章に関しては仕掛けや解明方法を除く、作品の設定はすべてオリジナルストーリーとして構成されている。原作準拠の作品が多数を占める中で、原作を大きく変えてヒットした稀有な作品が『ガリレオ』シリーズである。 西谷と鈴木の“ガリレオタッグ”に期待されるのは、昭和初期という時代背景の中で、いかに令和にフィットする価値観を取り入れるのかという部分だろう。もちろん、原作準拠で放映される可能性もあるわけだが、これまでの2人の傾向を見ると、『ガリレオ』シリーズと同様に、推理の部分は原作準拠で、それ以外の細かな設定は原作から大きく変えてくる可能性も十分にある。推理モノとしての面白さと、個性的なキャラクターをどのように再現してくれるのか。西谷と鈴木であれば、原作ファンも、ドラマから入ったファンも、どちらも楽しめるような実写化にしてくれるに違いない。 鈴鹿と松本以外のキャストは明かされていないものの、本作には端崎馨や藤島千代といった魅力的なキャラクターが登場する。『嘘解きレトリック』は平成のいち時代を築いた『ガリレオ』シリーズの再来となるか。放送が早くも待ち遠しい。
川崎龍也