QRコード切符への切り替えが進む!英国で誕生した鉄道切符200年の歩み
日本生まれ「自動改札機」
改札の駅員は、自動改札機の登場と広がりによって次第に姿を消した。この自動改札機を世界で初めて開発したのは、実は日本である。最初の大阪万博の3年前、1967年(昭和42年)に開業した大阪の北千里駅には、定期券も利用できる世界初の本格的な「自動改札機」10台がお目見えした。開発したのは立石電機株式会社、現在の「オムロン株式会社」である。改札機に「切符を通す」システムがあり、切符には磁気が使われた。駅員のいる改札を抜けるのには「1分間に平均20人」だったが、一気に「1分間に80人」が通過できるようにスピードアップしたそうだ。
ICカードによる革命
切符にさらなる変革が訪れた。プラスチック製ICカードの登場である。2001年(平成13年)東京で「Suica(スイカ)」が導入された。これによって、切符を買って自動改札機の中を通すのではなく、機械にタッチして改札を通るようになった。現在は、このICカードの利用率が9割まで達している。普段使っているICカードが全国各地の鉄道でも使える互換性もあり、切符を利用する人の数はますます減ってきた。
時代はQRコードへ
首都圏の鉄道8社が2024年5月、磁気の付いた切符から「QRコード」を改札機にかざすだけの切符に切り替えていくことを発表した。2026年度以降からの実施をめざす。QRコード切符用の改札機に置き換える費用はかかるものの、メリットは多い。改札機に切符が詰まるトラブルが少なくなる。磁気付きの切符は金属を含むのでリサイクルが大変だが、その手間がなくなる。スマホなどにQRコードを呼び込んでのチケットレス化も進む。2014年(平成26年)からすでにQRコード切符を導入済みの「ゆいレール」。沖縄は暖かい気候のため、汗で湿った切符が度々詰まるトラブルがあったが、その解消にも役立った。ICカードも使えるが、海外からの観光客が多い沖縄だけにQRコード切符の利用数も多い。
不正防止対策も万全
気になるのは不正使用である。QRコードだとそれをコピーして、複数の人間が使うという可能性はないのか。しかし、一度改札を通ったQRコードは「入場済み」という情報がセンターサーバーに届き、他の改札からは入場できなくなるシステムとのこと。不正防止対策も取られているという。 紙に1枚1枚、それも手書きだった鉄道切符も、次々と開発される技術によってめざましい進化を遂げてきた。これから増えていくであろうQRコード切符によって、人の移動はますますスピードアップしていくことになるのだろう。 ※「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。 【東西南北論説風(503) by CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】
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