インテル、生成AIスタートアップ「Articul8」をスピンオフ、狙う市場とその詳細
世界最大手の半導体素子および中央処理装置メーカーのインテルは、かねてより企業向けのAIソフトウェア市場への関心を示していたが、このたび新たに生成AIプラットフォーム会社「Articul8 AI(アーティキュレート AI)」をスピンオフした。 Articul8 AIは、インテル、グローバルな経営コンサルティングファームであるボストン・コンサルティング・グループ(BCG)との昨年5月の共同プロジェクトから生まれたプロトタイプを基にしており、テキストと画像を読み取る生成AIシステムをBCGのデータセンター内で開発している。 2024年も盛り上がる生成AI市場の注目株のひとつであるArticul8 AIの特徴、また、インテルがこのスピンオフによって達成しようとしているビジネス戦略について詳しく掘り下げたい。
インテルと資産管理兼投資会社デジタルブリッジが設立「Articul8 AI」
2024年1月3日付けで、インテルはデジタルに特化した資産管理兼投資会社デジタルブリッジの支援を得て、Articul8 AI(「Articulate AI」の略語)という新しいジェネレーティブAI会社を設立すると発表した。 ロイターの報道によると、同社の生成AIは、インテル自社のハードウェア、オープンソースと社内ソースのソフトウェアを組み合わせ、2年ほどかけて開発した、テキストと画像を読み取ることができる生成AIシステムであり、クラウド、オンプレミス、またはハイブリッドで展開可能だ。 元インテルのデータセンターおよびAIグループで副社長兼ゼネラルマネジャーを務めていたアルン・スブラマニヤン氏がCEOに就任し、元インテル出身者がチームを構成、独立した取締役会で運営され、インテルは非公開の同社株式を保有することになる。
コストパフォーマンスとセキュリティで差別化をはかる
インテルの広報担当者がTechCrunchの取材に語ったところによると、Articul8の生成AIソフトウェア製品の強みは「導入速度、拡張性、セキュリティ、コストを含む持続可能性に関して最適化されている」という点だ。 Articul8プラットフォームは、顧客のデータ、トレーニング、推論を企業のセキュリティ境界内に維持することで、より高いセキュリティを提供している。 また、商品の開発・生産・販売を自社で一手に行う垂直統合によりコスト削減を実現、一定期間に定額料金を支払うサブスクリプションライセンスタイプの支払いモデルを採用し、トークンあたり、文字数、画像数あたりで使用料が計算される競合他社の消費型製品よりも、3倍低コストであるとしている。