2024年、大流行の新年を祝うお菓子「ガレット・デ・ロワ」とは? 専門店に見る新傾向を追う
「ガレット・デ・ロワ」というお菓子をご存じでしょうか? シュトーレンに続き、このお菓子界で大旋風を巻き起こしている焼き菓子です。 その見た目は真ん丸なパイ生地のお菓子で、日本では新年を迎えデパートはもちろんのこと、パン屋やお菓子屋さんからレストランまで、幅広い展開を見せています。 今回の記事では、ガレット・デ・ロワを数多く食べて取材してきたufu.編集長である筆者が「現代」のガレット・デ・ロワについてその深い世界をお届けしていきます。
起源と、フェーヴがもたらすコレクター精神くすぐる深い世界
「ガレット・デ・ロワ」はもともとはキリスト教の祭日、エピファニーにちなんだもの。エピファニーは公現祭と呼ばれ、1月6日または1月2日から8日の間の主日(日曜日)に、キリスト教会で行われる祝祭です。クリスマスとつながっており、エピファニーは6日と決まっていますが、実際は1月の第1日曜日が慣習となっていて、この日は家族で集まってガレット・デ・ロワを食べ、クリスマスを締めくくるというのが習慣になっています。 エピファニーではアジア、アフリカ、ヨーロッパの3大陸から訪れた東方三博士が幼子イエスを礼拝し、贈り物をした日ともされています。「ロワ rois」=「王たち」とは東方三博士のことで、彼らが持参した供物のシンボルがガレット・デ・ロワ=王様の菓子といわれています。 1月に入るとフランスの町のパン屋やケーキ屋のウインドウは、この伝統菓子でいっぱいに。スーパーでズラリとパックに入ったガレット・デ・ロワが大量に並べられている様子は、日本ではなかなか見られない光景です。 新年を祝う菓子となった現在は、切り分けた中にフェーヴが入っていた人は、王冠をかぶり、その1年を幸せに過ごせるものとして日本でも人気のお菓子の一つに。日本では誤飲の恐れがあることから、基本的には中には入れず、箱に添えられていることがほとんどです。 そのフェーヴが、例えば「ピエール・エルメ パリ」をはじめとした有名ブランドは毎年オリジナルのものを、そしてデザイナーとコラボレーションのものを出すなど、コレクターがどんどん増えているのが現状です。 実際に個人店でも作家さんとのコラボレーションも増え、1月4日から新宿の伊勢丹地下1階での催事を控える人気ブランド「Galet Galet(ガレガレ)」は人気陶芸作家村井陽子さんとコラボレーションのフェーヴが限定でつくほど。朝からフェーヴを求めて今年も並ぶことが予測されています。