私立大学の学費だと家計が厳しくなるので、息子には国立大学に通ってほしいです。私立に通うことになった場合、学費を息子のアルバイト代で賄えるのでしょうか?
一般に、国立大学よりも私立大学のほうが学費は高くなる傾向にあります。そのため、親としては「国立大学に進んでほしい」と思うことでしょう。 そこで本記事では、国立大学と私立大学の学費の違いや、子ども自身で学費を工面する際のポイントを解説します。 ▼「大学無償化制度」の対象者とは? 年収要件や注意点を解説
私立大学と国立大学の「学費」の違い
まずは、私立大学にかかる学費を見ていきましょう。文部科学省が実施した「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によると、以下の結果となりました。 授業料:95万9205円 入学料:24万806円 施設設備費:16万5271円 実験実習料:2万8864円 その他:8万3194円 初年度納入額:147万339円 仮に授業料などが変わらなかった場合、4年間では約518万円の学費がかかることになります。 一方、国立大学は文部科学省により標準額が定められています。2024年現在の標準額は以下のとおりです。 授業料:53万5800円 入学料:28万2000円 初年度納入額:81万7800円 4年間の総額:242万5200円 ※文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」より 4年間の総額で比較すると、私立大学の学費は国立大学の約2.14倍かかります。
可能?不可能?私立大学の学費をアルバイトで稼ぐシミュレーション
学費のみを比較した場合、私立大学は国立大学の2倍以上かかるため、家計の大きな負担になることが分かりました。では、学生自身がアルバイトで学費を工面することは可能なのでしょうか? ■税金や社会保険料に注意 年収が103万円を超えると、所得税が課せられます。さらに子どもが親の扶養に入っている場合、親の控除額にも影響が出てしまいます。親の扶養に入っている場合は、年収103万円以内に抑えるようにしましょう。なお、勤労学生控除の適用を受けると、学生自身は年収130万円までは税金がかかりません。 ■130万円を超えると負担増に 年収が130万円を超えると、勤労学生控除を受けられなくなります。さらに親の扶養からも外れてしまい、子どもが国民健康保険や勤務先の健康保険に加入する必要が生じます。 そもそも、年収130万円(月収約10万8000円)をアルバイトで稼ごうとすると、時給1200円で月あたり90時間働かなければなりません。学業との両立を考えたとき、長時間のアルバイトは留年等のリスクも高まるので注意が必要です。 ■奨学金も活用しよう 大学によっては、成績優秀者を対象とした奨学金がもらえます。また、大学とは関係のない第三者機関による奨学金を活用する方法もあります。とはいえ奨学金を利用すると、卒業後の返済負担が気になる方もいることでしょう。 2021年、企業が日本学生支援機構(JASSO)に直接返済する「奨学金返還支援(代理返還)制度」が新設されました。これを受け、福利厚生の一環として社員の奨学金を肩代わり返済する企業も増えています。 2024年5月末時点で、2023社がこの制度に参加しています。JASSOのウエブサイトでは実施企業一覧を公開しているので、奨学金の利用を検討している方はぜひチェックしてみてください。 このような制度も活用しつつ、アルバイトでの不足分を奨学金で賄うプランも検討してみてはいかがでしょうか。