ホンダ400ccV4エンジンの黄金期に活躍した、NC30型VFR400R
ホンダの400ccレーサーレプリカはV型エンジンのVFRと直4エンジンのCBRの2本立てであったが、主力であったのはワークスレーサーRVFの流れにあるVFRであった。今回紹介するNC30型VFR400Rは、V型エンジンを搭載した400ccクラスを代表するモデルであり、生産中止から30年以上経った今も多くのファンを持つ1台だ。 【画像】NC30型VFR400Rのディテールや関連モデルをギャラリーで見る(26枚) 文/Webikeプラス 編集部、取材協力/バイク王つくば絶版車館
ホンダのレース活動を象徴するV型エンジン
NR500、NS500、NSR500、RVF750/400、そしてRCVシリーズへと続くホンダのV型エンジンは、レースと切り離すことはできない。特に1980年代から1990年代にかけてはV型エンジン搭載車の活躍が目覚ましく、その技術が市販車にも数多くフィードバックされた。 まず1982年にVT250Fが登場し、翌1983年にVF400FやMVX250Fが発売された。VT250FとVF400Fは好調な販売を続けたが、2ストロークのMVX250Fは苦戦を強いられ、販売直前まで開発の進んでいたMVX400Fの発売中止という事態を招くに至った。 VF400Fは1986年4月にフルモデルチェンジされ、アルミフレームを持つNC21型VFR400R/Zへと進化する。エンジンはVF400Fに搭載されていたNC13E型をベースに、カムギアトレーンの採用やクランクシャフト角の360度から180度への変更などが加えられていた。このNC21型は翌1987年2月にはNC24型へと1年経たずにフルモデルチェンジし、片持ち式スイングアーム「プロアーム」を装備したNC24型となる。このプロアームは見た目の派手さもあるが、本来はタイヤ交換をする必要のある耐久レース由来の技術であり、鈴鹿の4耐や8耐を中心とした当時の耐久レース人気の高さがうかがえる。 そんなこともあり、ホンダは1987年7月にTT-F1用のホモロゲーションマシンとなるRC30型VFR750Rを発売した。148万円というその価格は当時の量産車としては最高額で、日本では1000台限定、海外向けは製造期間限定という形で販売された。各部にはワークスレーサーRVF750の技術がフィードバックされ、丸目2灯式のヘッドライトやアルミフレームにプロアームを組み合わせた車体は耐久レーサーそのものと言える仕上がりであった。このRC30の発表の約1年半後の1988年12月、NC24型VFR400RはNC30型へとフルモデルチェンジされ、前年に発売されたRC30型VFR750Rに近いデザインが採用された。