その洗濯槽、カビてますよ!? ハウスクリーニングのプロが教える掃除術【洗濯機編】
洗濯機で汚れるのは洗濯槽だけじゃない…意外な盲点は排水ホース
しかし、洗濯機で汚れているのは洗濯槽だけではありません。春日さんによると、洗濯機につながっている「排水ホース」もかなりの汚れが溜まっている部分だといいます。 「洗濯機に取り付けられている排水ホースは中に溜まった水を排水する排水口と洗濯機をつなぐものです。洗濯機は脱水をすると中の水が排水口に流れていきますが、排水ホースの中の水は全部抜けるわけではないんです。 つまりホースの中には常に水が溜まっている状態で、放置すると腐敗してヘドロ状になってしまう。ひどい状態だとヘドロでホースがふさがってしまうことも珍しくありません。お客様の中には『洗濯槽を何度掃除しても臭う』という人がいますが、そういった場合は排水ホースが汚れていることが多いです」 つまり洗濯機をキレイにするには洗濯槽だけではなく、排水ホースもキレイにする必要があるのです。
近年大注目!排水ホース専用のクリーナーもある
先ほど紹介した「カビトルネード」を販売している「リベルタ」は、洗濯機の排水用ホースを洗浄することができる専用洗剤「排水ホースクリーナー」も展開しています。 「これは日本洗濯機クリーニング協会として『リベルタ』に働き掛けて、商品化されました。排水ホースも洗濯槽と同様、定期的に洗浄する必要があるのに、これまで注目する人がいなかったんです。実際に僕たちハウスクリーニング業者がお客様に洗濯機の掃除を依頼された際、洗濯槽は汚れていないのに排水ホースにヘドロがたまっているというケースはたくさんありました」 とはいえ春日さんによると、排水ホースの洗浄は洗濯槽ほど頻繁に行わなくてもいいそうです。 「つねに排水ホースには水が溜まってるとはいえ、ホースの内部はあまり空気がありません。カビやヘドロが発生するには空気も必要になるので、洗濯槽ほどのスピードでは汚れないですね。ですから我々は半年から1年ごとに洗浄剤を使っていただければいいかな?とお客様に伝えています」
家の中で一番汚い!? 日本の家庭の洗濯機が汚れる理由
春日さんによると、梅雨に限らず「家の中で一番汚いのは洗濯機」だそう。特に日本の梅雨時期は、冬と比較して倍以上汚れるといいます。 「私の会社は台湾にも支社がありますが、日本以上に高温多湿の台湾でも、日本ほど洗濯機は汚れていないんです。なぜだろう?と僕もずいぶん研究したのですが、おそらくランドリールームの広さが影響していると考えています。日本は狭い脱衣場に洗濯機を押し込んでいる家庭が多く、洗濯機まわりの空気が循環しないんですね。ですから高温多湿で洗濯機がどんどん汚れてしまうんです」 とにかく洗濯機をキレイに保つ環境としては良くない条件がそろっているのが現在の日本の状態といえそうです。普段肌に身に着けている衣類は、やはり清潔な場所で洗濯したいもの。どんなにオシャレな服でも洗濯機が汚れていたらニオイも気になるし、目に見えない雑菌も気になります。 もし10年以上洗濯槽や排水ホースの洗浄をしていない人でも、今やれば遅くはありません。どんな状態でもやらないよりやったほうが絶対にいいのです。本格的な夏が訪れるこのタイミングでぜひ一度、洗濯機をキレイにしてみてはいかがでしょうか? 撮影/黒石あみ(小学館)
【教えてくれた人】
お掃除アドバイザー・ハウスクリーニング専門家 春日富士(かすがふじ)さん 清掃代行 NAGAREBOSHI 本部事業統括・一般社団法人 日本洗濯機クリーニング協会理事。20年以上にわたりハウスクリーニングの現場に携わり、さまざまな清掃分野に知見を持つ。エアコンクリーニングや水回り清掃を中心に作業従事するかたわら、2015年に国内初となる「洗濯機分解クリーニング」を公式サービスとして提供開始。以降約10年の間、国内洗濯機クリーニング取扱高全国1位。2020年から全日本消毒業協会理事としても活動している。
高山恵