『海のはじまり』有村架純が引き込まれる名演技! ホラー味ある「子ども産んだことないでしょ?」はハッピーエンドフラグか
「子ども産んだことないでしょ?」 大竹しのぶ演じる祖母が、有村架純演じる主人公の恋人に言い放ったこの言葉が、あまりに強烈すぎた第3話。でもコレって、ラストに向けての壮大なフラグに違いない。 【写真あり】中学校の卒業アルバムに掲載されたテニスウエアを着た有村 突然娘がいることを知らされた主人公・夏(Snow Man目黒蓮)が、幼い我が子と向き合っていくという親子愛がテーマの月9ドラマ『海のはじまり』(フジテレビ系)。2022年に大ヒットした『silent』(フジテレビ系)の脚本家・生方美久氏の最新作だ。 7月15日(月)に第3話まで放送され、賛否両論を巻き起こしながら、今期トップクラスの話題作となっている。 ■言い得て妙だった「お母さんやれます顔」 主人公・夏は平凡な会社員ながら、恋人の弥生(有村)と幸せな日々を送っていた。 そんなある日、大学時代に交際していたものの8年も疎遠になっていた元カノ(古川琴音)が、亡くなったという訃報を受け、葬式に参列。葬儀場で夏は、もうすぐ7歳になる少女・海(泉谷星奈)と出会う。そして元カノの母で海の祖母・朱音(大竹)から、海が夏の娘であることを知らされる。 夏は戸惑いながらも自分が “父親” になるべきなのか、幼い娘とどう向き合っていくべきなのかを真剣に考え続けている。一方、実は過去の彼氏との間で妊娠し、堕胎経験がある弥生は、夏が海の “父親” になるのであれば自分が “母親” になることも選択肢に入れてほしいと伝えていた。 第3話。そんな夏と弥生、そして海の3人でお出かけすることに。 だが朱音は、夏には少しずつ心を開き始めているが、突然現れた弥生に対しては複雑な感情を抱いている。3人が出かけた後、「あの子(弥生)、『私、お母さんやれます』って顔してた」と不快感をあらわにしたのだ。 この「お母さんやれます顔」という表現に「たしかに!!」と思わず膝を叩いた。 誤解しないでもらいたいのだが、筆者は弥生のキャラが嫌いというわけではなく、強くてかっこいい女性だと好感を抱いている。むしろ現時点では夏よりも主人公然としていて、物語を引っ張っている存在だとも思っている。 また、朱音を「いじわるばあさん」のように憎らしく見ているわけでもない。最愛の娘を失った悲しみのなか、娘が残してくれた孫を大切に守ってあげたいという深い愛情が、その言動からひしひしと感じられるからだ。 要するに、弥生にも朱音にもキャラとして好感を抱いているのだが、ただ、たしかに第3話の弥生の発言・表情・所作からは、母親アピールみたいなものが漏れ出ていて、朱音からすれば相当イラっとしたはず。「お母さんやれます顔」は言い得て妙だった。 ■弥生を “海の家族” として認めるフラグ? さらに、3人がお出かけから帰って来た際の朱音と弥生の応酬は、かなりの見応えがあった。 心配していた朱音が「大丈夫でした?」と尋ねると、弥生は笑顔で「はい、楽しかったです」と即答。これが朱音の逆鱗に触れる。 朱音は弥生に対して、つい「子ども産んだことないでしょ?」と詰めてしまうのだ。弥生は驚き、「ありません」と答えるのが精いっぱい。 火がついてしまった朱音は懇々と子を産む大変さや育てる大変さを語るのだが、ここで弥生の “強さ” の本領発揮。ひるみっぱなしではなく、「でも……本当に楽しかったです。ありがとうございました。私まで一緒に」と最後は微笑んで見せるのだ。弥生、つえぇ。 このシーン、朱音と弥生という強い芯を持つ女性同士の衝突で見応えがあったのだが、言わずと知れた大女優・大竹しのぶと、実力派に脱皮しようとしている有村架純の演技合戦としての見応えもあり、かなり引き込まれた。 さて、しょっぱなからヒリヒリする地獄の空気を見せてくれた朱音と弥生。 けれど、こんなにも本音で激しくぶつかりあったことを考えると、これはもう最終的に朱音が弥生のことを “海の家族” として認め、協力しあう関係になるフラグにしか思えない。 このドラマは父・夏と娘・海の関係性がメインの作品ではあるが、朱音と弥生が和解して笑顔を交わしあうなんてシーンが出てきたら、個人的にはそこで一番、涙腺崩壊しそうだ。 ――まだまだ重く暗い雰囲気で進んでいる本作。「子ども産んだことないでしょ?」発言がハッピーエンドフラグだと信じて、今夜放送の第4話も視聴したい。 ●堺屋大地 恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中
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