「ふざけんな!奴には本当に失望した」“問題児”カシメロの600グラム体重超過による計量失格に井上尚弥戦を狙っていた仕掛け人の元世界王者が大激怒!
今にして思えば、奇妙だったのは、日本で一度もスパーリングを行わなかったこと。来日した際にも「向こうでスパーは終わらせた。こっちではしない」と語っていた。試合の2週間以上も前にスパーを打ち上げるのはあまり聞いたことがない。伊藤氏は「それで大丈夫なのか?」と質問したそうだが、カシメロは「それがオレのスタイルだ」と涼しい顔をしていたという。 来日後に伊藤氏が実際に体重計を確認したが、その際には126.6ポンド(57.4キロ)だった。122ポンド(55.3キロ)のスーパーバンタム級のリミットより2.1キロオーバー。前日の水抜きで余裕で落ちる範囲だ。伊藤氏は「これなら安心だと思っていた。毎日、体重を報告させ、計量の前日も、もう大丈夫だという話をしてきた。結局、それが嘘だったのか、それ以上になんか飲み食いをしていたんでしょうね」とあきれる。 食事などは、あまりできないはずが、来日後にも「飯代をよこせ!」などの契約にない要求もしてきた。 カシメロには、WBO世界バンタム級王者時代にも体重超過の“前科”があった。 2021年12月にドバイで行われるはずだった同級1位ポール・バトラー(英国)との防衛戦の前日計量をウイルス性胃腸炎のため欠席し、試合は中止になった。医療診断書を提出してベルトの剥奪には至らなかったが、これも実態は減量ミス。翌年4月に英国で再度バトラー戦がセットされたが、今度はローカルコミッションが禁止しているサウナを使った減量が発覚して試合は中止となり、結局、タイトルを剥奪された。暫定王者となったバトラーが正規王者に昇格し、井上との4団体統一戦を戦った。カシメロは2020年4月に米国ラスベガスで井上と対戦することが正式決定していたが、新型コロナの影響で延期となった。以降、両者の対戦は実現していないのだが、自主管理さえできていれば井上と対戦できていたのだ。 今回、ノンタイトル戦でありながら、スーパーバンタム級の契約で試合を行うことになった理由は、バンタム級を主戦場としている対戦相手のサンチェスが大きな体重差となることを嫌がって要求したため。伊藤氏には「きちんと体重を落とせることを井上サイドにアピールしたかった」との狙いもあった。だが、その目論見は無残にも空振りとなった。 あるプロモーターは「こんなミスを犯した選手を大きなお金が動く井上尚弥選手の世界戦では怖くて使えないでしょう」との見解を口にしていた カシメロは昨年10月に行われた元IBF世界スーパーバンタム級王者の小國以載(角海老宝石)との試合が4回負傷ドローに終わり、試合内容も不甲斐なかったため、評価を下げて井上の対戦候補リストから外れた。井上は12月24日にWBO&IBFの同級1位のサム・グッドマン(豪州)と対戦予定で、その次にはWBAの指名挑戦者で元WBA&IBF王者のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)が控える。小國戦以来、1年ぶりとなる今回の試合は、カシメロにとって存在感を示し、“第3の刺客”として井上戦を再度アピールするための重要な試合だった。
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