問われる「P連」の存在意義。今、“退会”が加速している理由とは?PTAを束ねる連合会に疑問の声
◆P連退会を決めたいちばんの理由はおカネ
その存在をあまり知られていない、PTAの連合組織である「P連(ピーれん)」。P連とは「PTA連合会」の略称で、その名の通り「各校のPTAの集合体」を指します。市区町村郡、都道府県、全国単位で存在し、「○○市PTA連絡協議会」「△△区立小学校PTA連合会」「□□PTA協議会」などさまざまな名称で呼ばれています(以下「P連」と記述)。 【ランキングTOP12を見る】PTA活動で不必要だと思う活動、1位になったのは…? P連の多くは、「各校PTAの横のつながりをつくり、地域に情報発信する」「学校横断的な声や要望をまとめ、行政に伝える」などを目的に、研修会や講演会の開催、広報活動、地域行事の開催などを行っています。 しかし、近年その存在意義が問われ、各地で退会が相次いでいます。 「退会を決めた一番の理由は、おカネ。分担金の支払い負担が大きかったことです」というのは、北九州市内の公立小学校で8年間PTA会長をつとめた田中裕三さん。 2022年5月、それまで加入していた北九州市PTA協議会から退会しました。 P連の活動資金の一部は、各校のPTA会費から出ています。 例えば、「市区町村郡のP連」に加入している各学校のPTAは、P連の運営資金として、保護者からおさめられるPTA会費の一部を「分担金」として支払う仕組みになっています。金額は地域により異なりますが、児童ひとりもしくはひと世帯につき年額10円単位~100円単位が多いようです。 「北九州市では、2021年度は児童ひとりにつき200円の分担金を支払う仕組みでした。児童数は300人で計6万円。これに加え、市内の小学校の校区が7つに分かれており、区への分担金もありました。これらを足すと、1年間で約10万円の支出になります。 この10万円で子どもたちに何らかのメリットがあるかといわれたら、ほとんどありませんでした」と、田中さん。
◆P連からの“充て職”に対応する余裕がない
北九州市では、教育委員会からの通達により、子どもの入学と同時に自動的にPTAに加入する「強制加入制」から、加入・非加入の意思を確認する「任意加入制」に移行。 田中さんが会長をつとめるPTAでも、「任意加入制」への移行に伴い、「委員会をなくす」「必要なときにできる人がスポット的に参加してもらう」などの体制にし、活動の簡素化を図りました。その結果、2021年度、全保護者に入会の意思確認を行ったところ、加入率は30%に。 「PTA会員が大幅に減り、役員メンバー6人で細々と運営する状況も、P連からの退会の決め手になりました。なぜなら、P連に加入していると、いわゆる“充て職”が回ってきて、行政への出向や地域行事の運営スタッフとして駆り出されることが多いのです。PTAの規模が大きく縮小するなか、それらの活動に対応する余裕はありませんでした」 田中さんは続けます。 「地域のP連の役割は、行政や教育委員会に対して子どもたちの教育環境の改善を要望し、しっかりと予算をつけてもらうことだと思います。しかし、当時のP連は、各校のPTAから寄せられた教育改善提案をまとめて行政に提出するだけで、その後の議論につながっていないように感じました。 こうした形だけの活動に疑問を感じたことも、退会理由のひとつです」