どんな仕事に就いても楽なものはない…「決断の時」を迎える20歳前後の若者が「覚悟しておくべきこと」
日本は今、「人生100年」と言われる長寿国になりましたが、その百年間をずっと幸せに生きることは、必ずしも容易ではありません。人生には、さまざまな困難が待ち受けています。 【写真】じつはこんなに高い…「うつ」になる「65歳以上の高齢者」の「衝撃の割合」 『人はどう悩むのか』(講談社現代新書)では、各ライフステージに潜む悩みを年代ごとに解説しています。ふつうは時系列に沿って、生まれたときからスタートしますが、本書では逆に高齢者の側からたどっています。 本記事では、せっかくの人生を気分よく過ごすためにはどうすればよいのか、『人はどう悩むのか』(講談社現代新書)の内容を抜粋、編集して紹介します。
いきなり決断の時
青年期とは、大人になる一歩手前から、大人になりたての時期、すなわち高校卒業後の十九歳から二十五歳前後までを指します。 青年期はまた、個人的な存在から社会的な存在への通過点でもあります。それまではいろいろ悩みはあっても、多くは子どもの悩みで、一生を左右する大人の悩みとは、ある意味、次元がちがいます。 青年期には目の前のことだけでなく、長きにわたって続く人生のスタートを切る決断をしなければなりません。すなわち、就職と結婚です。この二つをどうクリアするかによって、その後の人生が大きく変わることは、大人ならだれしも身をもって体験しているでしょう。しかし、当の青年たちにはその自覚は薄く、当然、準備も十分ではありません。いわば突然、人生を左右する「決断の時」を突きつけられる感覚を抱きがちです。 大学で私の講義を受けていたのは一、二年生だったせいか、「君たちが今、直面しているのがこの決断を迎える時期だよ」と、やや圧力を強めて伝えましたが、反応は鈍いものでした。気を引き締めるとか、実力を高めて準備をするとかいうのではなく、今はまだ考えたくないとか、まだ焦らなくてもいいでしょうという気楽な顔の学生がほとんどでした。 急に決断の時と言われてもと、戸惑う反応も見られました。世の中全体が優しくなり、社会に出たら厳しい現実が待っているとか、甘い考えでは通用しないなどの、辛口の助言をする大人が減ったせいかもしれません。