弱い自分が情けない→老子の「逆転の発想」で心がフッと軽くなった!
いつも他人と自分を比べてしまう人もいれば、常に「上か下か」というジャッジをするのがクセになっている人もいる。なかには、人と比べて情けない自分に嫌気が差してしまう人もいるだろう。そうしたモヤモヤを抱えている人に耳を傾けてほしいのが、中国の思想家・老子の言葉だ。精神科医・野村総一郎氏が、老子の思考をもとに考案した自分や人をジャッジすることをやめる「ジャッジフリー」な考え方を身につけると心がラクになるという。※本稿は、野村総一郎氏『人生に、上下も勝ち負けもありません。焦りや不安がどうでもよくなる「老子の言葉」』(日経ビジネス人文庫)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● 老子の重要な考え方 「柔弱謙下」とは? 自信満々で、常に堂々としている人を見ると本当に尊敬してしまう。 それに比べて自分はいつもフニャフニャ。 情けないとは思うけれど、どうしようもない。 反対に、自信のなさから、ついつい強がってしまう。 だから、表面的には仕事ができると思われているけれど、「強い自分像」に現実がついていけない。 そんな悩みを抱えている人もじつはたくさんいるものです。 たしかに、自信に満ち溢れている姿は素晴らしいものです。 そんな人がカリスマ的なリーダーシップを発揮し、いろいろなプロジェクトを成功に導いているのも事実でしょう。 しかし、そんな「いかにも堂々としたスタンス」だけが素晴らしいかと言えば、そんなことはありません。 そんなときは「マカロニ」のことを考えてみてください。 <マカロニの思考> 別にこれといって芯はないよ。 <老子の言葉> 強大なるは 下(しも)に処(お)り、 柔弱(じゅうじゃく)なるは 上(かみ)に処る。 ↓ <医訳> 硬く、こわばっているより、フニャフニャとして柔らかいもののほうがいい。樹木にしても、若いうちは柔らかいが、歳をとって枯れると硬くなってくる。強く硬いものより、柔らかいもののほうがより「生」に近いのだ。 「強いよりも弱く」「硬いよりも柔らかく」。 じつに老子らしいメッセージです。 そもそも老子の重要な考え方のひとつに「柔弱謙下(じゅうじゃくけんげ)」というものがあります。 これには「人間は弱くていい。いや、むしろ弱いほうがしぶとく生きられる」という意味が込められています。 柔らかくて弱いものにはしなやかで粘り強いところがあり、謙虚で、他人よりも低いところにいる人は本当の強さを持っている。そのような意味です。 自信満々で自分の価値観を信じ、絶対的な強さで引っ張っていくリーダーは素晴らしい。 しかし世の中、そんな強いリーダーだけではなかなかうまく回っていきません。