[特集/アーセナルは優勝する 03]驚愕のマルチ性+攻撃性能もアップ 冨安健洋はアーセナル優勝のキーマンだ
持ち前の堅実さに加え攻撃性能もバージョンアップ
第11節ニューカッスル戦は左SB、11月8日のCLセビージャ戦も左。第12節バーンリー戦は右SB。ここからはブレントフォード戦、CLのRCランス戦、そしてウルブズ戦と右SBでプレイしている。 左でプレイするときは前述のとおり、ビルドアップにも積極的に寄与できる。一方、右でプレイするときの冨安は攻守ともに非常に手堅い。アーセナルのボランチでプレイできるほどの技術と戦術眼がありながら、右SBとしての冨安はチームのリズムを崩さないようにシンプルなプレイに徹している。やろうと思えば冒険的なプレイもできるが、あえて抑え目にやっている感じ。前に突破力のあるサカがいるので、冨安自身は無理なプレイをしないほうがチームのリズムが良くなるのだ。こうした使い分けができる賢さも、信頼されている理由だと思う。 右利きだが左足も自由に使える。スピード、パワーが図抜けていて、1対1の守備対応が抜群。ウイングに強力な選手が多いプレミアリーグで、冨安の守備力の高さは心強い。ウイング対策としてSBにCBタイプを起用するのは流行になっているが、その点でも冨安はピタリとはまる。 さらに、右でも左でも得点に絡むシーンが増えてきたのも見逃してはならない。第8節、王者シティをホームに迎えての一戦では、左SBとして終盤に投入されると前線で高さを活かしてターゲットとなり、マルティネッリの決勝ゴールにつなげている。対シティの8年ぶりの勝利に大きく貢献した。 また、第10節シェフィールド・ユナイテッド戦ではホワイトに代わって途中から右SBに。コーナーキックからダメ押しの5点目をゲットし、これは冨安のプレミア初ゴールとなった。 6-0と圧勝したCLのRCランス戦では前半のうちに2点をアシスト。英メディアでも「本物の脅威」「たゆまぬオーバーラップに対するご褒美」と絶賛が相次いだ。 負傷離脱したウルブズ戦でも前半わずか6分でサカのゴールをアシストしており、今季の冨安は攻撃においても光るものを見せていた。それだけに、ケガが残念でならない。