被災古文書、学生が守る 金沢学院大 珠洲の史料を整形、乾燥
金沢学院大は7日、能登半島地震で被災した古文書の「応急手当て」に着手した。国立文化財機構文化財防災センターからの依頼を受けて珠洲市の個人が所有していた大量の文書を預かり、ボランティアで集まった学生が作業に当たった。雨ざらしになった史料にかびが生えたり、劣化が進んだりしないよう、丁寧に形を整えて乾燥させた。 国や各自治体が連携する被災文化財等救援事業では、被災建物から文化財や美術品、史料などを救出、保全している。金沢学院大にも5月に協力要請があり、段ボール箱六つ分の文書が珠洲市から持ち込まれた。 江戸期から昭和初期ごろにかけての大福帳や薬の調合の覚書、立山の名所地図など多様な文書が含まれており、所有者の家が地震で倒壊したため雨にぬれるなどして傷みが生じていた。 文化財保存を専門とする中村晋也准教授は、かびの繁殖を抑えるため、いったん学内の冷凍庫で史料を冷凍保存。夏休みに協力してくれる学生を募集したところ、学芸員課程を履修する2~4年生16人が名乗りを上げた。 かびなどを吸い込まないよう防じんマスクを付けた学生は、折れ曲がった文書をピンセットやへらで丁寧に延ばし、床に広げて乾燥させる作業を進めた。初日は芸術学部の加藤謙一准教授も加わった。 芸術学部3年の中村早貴さん(21)は「所有者の方が大切に守ってきたものなので責任を感じる。しっかりときれいにしてお返ししたい」と意気込んだ。 乾燥を終えた後はアルコールやはけなどを使って汚れを落とし、所有者に返却する。中村准教授は「文化財は地域の歴史の象徴であり、心の支えともなる。1点でも多く残せるよう今後も協力したい」と話した。