国内初の軽量消防車、長野ポンプが開発 水槽は2倍の容量に 燃料の火災にも対応
●消防学校に寄贈、軽くて強い素材採用 消防機器や車両の開発・製造を手掛ける長野ポンプ(金沢市浅野本町)が4日までに、国内で初めてボディーに軽量素材を採用した多機能型消防ポンプ車を開発した。同社は10年前から県の助成金を活用して軽量素材を使った車両の開発を進めており、4日に車両を県消防学校に寄贈した。教官らが扱い方を研修し、来年度から消防職員の初任教育で活用する。 同社の取り組みは、2013年に県の新技術支援事業に採択され、14年に開発に着手した。車両ボディーに超軽量で高強度のガラス繊維強化プラスチック(GFRP)を採用して約1トンの軽量化を図った。 車体が軽くなった分、従来の約2倍となる1500リットルの水槽が確保でき、これまで化学車のみに備わっていた自動泡混合装置を搭載することも可能となった。石油やガソリンなどが燃える「油脂火災」にも対応できる。 能登半島地震では、道路状況の悪化により、大型車両が火災現場まで到達できないケースもあった。今後、同社はGFRPを採用した車体をベースに、小型化や県内外の自治体からのニーズに応じた機能を搭載した車両を製造していく。 4日、県消防学校で受納式が行われ、長野幸浩社長が馳浩知事にレプリカキーを手渡し「未来の消防士が学ぶ消防学校で、車両を役立ててほしい」と呼び掛けた。放水の披露もあり、県や消防関係者らが防災力向上に期待を寄せた。