西山朋佳白玲「1年間、白玲を預からせていただく」 不戦勝で決着のシリーズ
第4期白玲就位式が3日、東京・渋谷の新将棋会館で行われ、西山朋佳白玲=女王・女流王将=に就位状が授与された。 今シリーズは、西山の新型コロナ感染の影響で第4局は延期に。第4局終了までで2勝2敗と星が並んだが、妊娠中の挑戦者・福間香奈女流名人=清麗、女流王座、女流王位、倉敷藤花=が第5、6局と体調不良により対局の実施が困難と申し出、協議の結果、規定に基づいて不戦敗となった。2局連続の不戦敗でタイトルが決着する異例のシリーズとなった。 西山は「今回の白玲戦は両対局者それぞれ様々なことがあり、関係者の皆様、ファンの皆様にはご心配をおかけするということになってしまったんですけれども、その時々で皆様には大きなご配慮をいただきまして、改めてありがたい環境で対局させていただいていることを実感しておりました」と語った。 日本将棋連盟の羽生善治会長は「棋士の性分としては、西山さんとしても今回はやや不思議な感覚でこの場にいらっしゃるんじゃないか」と西山の気持ちに寄り添った。また、1983年に谷川浩司十七世名人が名人位を獲得した際の「1年間、名人位を預からせていただきます」という名言を引き合いに、「西山さんにおかれましては、今期は白玲位を預っていただいて、また来年の防衛戦に全力を出していただき、すばらしい対局を見せていただければ。西山さんもこれから先の時代を担う棋士、女流棋士のあこがれの的になり続けるだろう」と言葉をかけた。 西山はこれを受け、「今回の結果の方は、複雑な気持ちがないわけではないんですけれども、先ほど教えていただいた谷川先生のお言葉にあやかって、また1年白玲という重みのあるタイトルを預からせていただくということで、今後の自分の心のよりどころにもなるのかなという風に思っております」と思いを述べた。 同棋戦主催のヒューリック株式会社・西浦三郎会長は「西山さんの防衛に一点の曇りもない」と強調。「福間さんは今回ご出産ということでおめでたい話」とし、「3日前ぐらいに福間さんから手紙をいただいた」とも明かした。 西山は現在、女性初のプロ棋士を目指す棋士編入試験にも臨んでいる。第3局が終わったここまでで、1勝2敗。合格へは残り2局の連勝が必要になる。第4局は17日に行われる。
報知新聞社