フランス代表の新10番候補ラヤン・シェルキ21歳 ジダン、グリーズマンの系譜を継げるか
【代表定着のポイントは?】 ただ、もしかしたらさらに大きな壁があるかもしれない。デシャンはフランスを支えてきた「10番」をそこまで重視していない可能性があるからだ。というより、現代サッカーで純粋な「10番」は居場所を見つけにくくなっている。 そもそもデシャンはモナコを率いていた時も「10番」のタイプを置いていなかったし、フランス代表でもグリーズマンより10番成分の顕著なナビル・フェキルはずっと控えだった。グリーズマンはよりハードワークできて、さまざまな局面に対応する適応力があり、それが重用されていた理由のひとつと考えられる。 シェルキの「10番」としての能力は疑いないが、その他の仕事をどれくらいのレベルでこなせるかが、代表に定着するかどうかのポイントになるのではないか。 現在のフランス代表は、フィジカル・モンスターが勢ぞろいしたような様相になっている。キリアン・エムバペという大エースもいる。しかし、グリーズマンにあった創造力は欠けたままだ。 シェルキがジダンの道を歩むのか、それともベン・アルファやナスリの轍を踏むのかは、まだわからない。ユベントスとフランス代表で、ジダンを間近に見てきたデシャンの決断が注目される。 連載一覧>>
西部謙司●文 text by Nishibe Kenji