元官僚の男性が京都府亀岡市で取り組む「あゆまも」 環境保全へ、妻のイラストでゲームやふるさと納税
京都府亀岡市に生息する国の天然記念物「アユモドキ」と、人魚を掛け合わせた母親と子どものキャラクター。豊川竜太さん(35)が「あゆまもプロジェクト」と題し、8月からカードゲームや複製できないデジタル資産「NFT」にして売り出している。「擬人化することで親しみを持ってもらい、アユモドキや環境保全への理解を広めたい」と語る。 誕生のきっかけは、市が力を入れるふるさと納税という。昨夏、妻でアーティストのキモトユウコさんが、新たな返礼品を作ってほしいと依頼を受けた。2人であれこれ考え、「亀岡らしさ」を出せるアユモドキに着目。キモトさんがデザイン、自身は商品開発や企画立案、市などとの調整役を主に担う。 「ストーリーがある方が理解が深まる」と、ルールからつくったカードゲームは、既に10セットほどが売れた。10~11月には、市役所の「開かれたアトリエ」と「サーキュラーかめおかラボ」(保津町)で、スタンプラリーも企画した。 「いつかはもう一つの生息地である岡山県とも交流してみたい。他の絶滅危惧種にも広げていければ、より面白くなるのではないか」。今後の展開に、想像を膨らませる。 経済産業省の元官僚という経歴を持つ。宮城県名取市で幼少期を過ごし、2011年の東日本大震災で大規模停電を経験した。エネルギー政策に関心を持ち、翌12年に入省。物流や資源、東京五輪などを担当した。 「民間の考え方も知りたい」と19年に休職し、京都大のビジネススクールに入学。すると、当時財務省から派遣され亀岡市副市長を務めていた仲山徳音(なるね)さんから、「週一日でも良いから手伝って」と声を掛けられた。 亀岡のことはほぼ知らなかったが、市の参与に就任。新産業創出を担当し、サンガスタジアム京セラ内の保育園の立ち上げや、ベンチャー企業対象のスタジアムを使った実証事業を手がけた。 1年半前には、キモトさんとデザインで地域活性化を目指すベンチャー「Pens and Needles」を立ち上げた。現在は5歳の息子と3人で京都市右京区で暮らすが、「いつかは亀岡に引っ越しできれば」と望む。