大谷翔平は救世主、人気下火のMLBに到来した「千載一遇のチャンス」
(ブルームバーグ): 米アリゾナ州フェニックスの郊外、野球チームのキャンプ地として知られるキャメルバック・ランチは2月の暖かい日差しに包まれている。チームの帽子を買い求めるファンや、選手のサインを求める子どもたちでいっぱいの同地では、ワールドシリーズ優勝7回、観客動員数で毎年リーグトップのロサンゼルス・ドジャースがシーズン開幕に向けて調整している。今年のオープン戦には例年の3、4倍の観客が集まった。「こんな光景は見たことがない」と、スポーツ専門局ESPNのアナリスト、ティム・カークジャン氏は語る。「驚くほどたくさんの人がいる。この大騒ぎはすべて、あの人のせいだ」と続けた。
あの人というのは、大谷翔平選手だ。身長193センチメートルの若者は、23歳にして米大リーグ(MLB)史上最も注目度の高い外国人選手となった。現在29歳の大谷は野球史上最も偉大な選手に挙げられる。昨年に2度目のアメリカン・リーグ最優秀選手(MVP)に選ばれた大谷は、打撃の強さだけでなく投手としても10勝を挙げた「二刀流」だ。ベーブ・ルースの再来と言われる才能の持ち主はほかにいない。
ただ、メジャー入り後最初の6年は、母国日本でのスーパースターぶりに比べれば米国内ではそこまで目立つ存在ではなかった。それが一変したのが昨年12月だ。
大谷翔平、ドジャースと契約-MLB史上最高の10年総額7億ドル
入団記者会見は世界中で数千万人が注目した。スポーツ用品オンライン小売りのファナティクスによれば、ドジャース公式の大谷ユニホームの売り上げは、プロサッカーリーグMLSインテル・マイアミのリオネル・メッシ公式ユニホームの2倍で、あっという間に売り切れた。
MLBにこれほど注目を集める選手が登場したのは久しぶりで、世界的な注目という点では前例がないほどだ。ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は大谷ファンをビートルズ・ファンに例える一方、大谷を例えるスポーツ選手は思いつかないとし、強いて言えばゴルフのタイガー・ウッズやバスケットボールのマイケル・ジョーダンだろうと話した。