乳がんのマンモグラフィー、超音波検査の追加は「根拠不十分」と米専門委員会、反発も
除外された研究
根拠が不十分というUSPSTFの今回の評価に誰もが同意しているわけではない。欧州乳房画像診断学会(EUSOBI)は、高濃度乳房の女性には2~4年ごとに追加のMRI検査を行うよう推奨している。また、米国放射線医学会(ACR)は、乳がんのリスクが平均より高い女性に対して、マンモグラフィーと補助的なMRI検査を毎年受けるよう推奨している。 バーグ氏は、USPSTFがいくつかの研究を無作為化比較試験ではないという理由で評価の対象から外したことを残念に思っている。 除外された研究の1つでは、高濃度乳房の女性1000人以上を対象に、毎年のマンモグラフィーと補助的なMRI検査を行ったところ、2年目のMRI検査によってマンモグラフィーでは見つからなかった4例のがんが追加で発見され、どれも浸潤性(周りの組織に広がっている)がんだった。 また、バーグ氏らが2019年に医学誌「Journal of Breast Imaging」に発表したレビュー論文によれば、超音波検診によって平均1000人あたり約2~3例のがんが追加で見つかっており、その多くが浸潤性だった。 すべての研究を考え合わせると補助的な検査の有効性が裏付けられると確信しているバーグ氏は、患者と医師のための教育用ウェブサイトを作っている。 バーグ氏も、補助的な検査で偽陽性が出て、不必要なフォローアップ検査が必要になる場合がある点は認めている。だが、氏らのレビュー論文では、放射線技師のさらなる訓練と、人間による画像診断を助ける人工知能(AI)技術の利用を増やすことで、偽陽性率を最小限に抑えられると主張している。
文=Meryl Davis Landau/訳=三枝小夜子