東京都在住者が所得の中から自由に使えるお金は全国的に少ない?!WOWOWドラマ『東京貧困女子』から考える東京における経済の「二極化」とは。
東京都在住者が自由に使えるお金は全国的にも少ない傾向に
東京都には大手日系企業の本社や外資系企業の支社、各種省庁などがある他、芸能人も多く住んでいるため、高収入の人が多く暮らしているイメージがあります。 こうしたイメージは「タワーマンション」や芸能人などが住む「高級住宅街」からもつくられてきたのでしょう。 しかし、国土交通省「地方の「豊かさ」に関する参考資料」を参照すると、東京都は全国的に見ても中間層はそれほどゆたかではないという現実に気付きます。 東京都の「可処分所得」は全世帯平均において全国3位という結果であるものの、中央世帯の平均は12位となっています。 さらに、中央世帯の「基礎支出(食・住関連の支出)」はもっとも高く、「可処分所得」と「基礎支出」との差額は42位という結果でした。つまり、給与などから生活費を差し引き、手元に残る金額が全都道府県のうち42番目に多いということです。 東京都には高い報酬を従業員に支払っている大手・有名企業もありますが、中小企業の割合の方が高いです。 また、都内の各種サービスを支えている非正規雇用で働く人も多くいます。そうしたことからも、中央世帯が他のエリアと比べてゆたかというわけではありません。
日本は男性よりも女性の方が貧困率が高い
内閣府男女共同参画会「女性の貧困と社会的排除(国立社会保障・人口問題研究所)」によると、男性よりも女性の方が貧困率が高い傾向にあります。 上記の表では、貧困率がもっとも高い層は65歳以上の女性となっています。 また、20~64歳の勤労世代についても、1995年から2007年まで女性の方が男性よりも貧困率がわずかながら高くなっています。 勤労世代の女性も不安定な状況に置かれており、生活基盤が社会情勢などによってわずかでもズレた途端に貧困に陥るケースが多々あります。 このことは、コロナ禍で問題となった非正規雇用で働く女性たちの状況にもうかがえます。 コロナ以前は経済的に余裕があるとは言いがたいものの、自分自身を「貧困層」と感じる女性はそう多くはなかったはずです。 しかし、感染対策のために社会の動きがストップすると、仕事を失い、収入が途絶える女性が急増しました。 その背景には、女性の多くがホテル・商業施設の清掃業や飲食・サービス業などで働いており、客足によってシフトが調整される職業に就いていることが深く関係していると考えられます。 また、女性は結婚をきっかけに新卒で入社した会社を辞める人は現代においても少なくありません。 夫と離婚すると自分の収入だけで生計を立てていかなければならなくなりますが、再就職が難しかったり、就職が決まらなかったりするケースも多々あります。 現役時代に収入が少なかったり、雇止めなどによって年金未払いの期間が長ければ、将来的に受け取れる年金は少なくなります。20~64歳以下の女性の貧困は65歳以上の女性の貧困ともつながっているのです。