Jリーグ全60クラブの頂点! 名古屋、5つ目の“輝く星”への199日間の旅路
■ファイナル・アルビレックス新潟戦
迎えた11月2日、『国立競技場』でのファイナルで、名古屋グランパスはアルビレックス新潟と対戦した。長谷川健太監督は『3-4-1-2』のシステムを採用。GKにランゲラック、3バックに内田、三國、河面、中盤の2枚に稲垣、椎橋慧也、右WBに野上結貴、左WBに徳元、流動的な前線のトライアングルに和泉竜司、森島、永井と、“対保持型”のベストメンバーを揃えた。 試合は予想通り、名古屋グランパスが新潟のビルドアップにハイプレスをかける展開になると、31分にミスを見逃さなかった永井が先制点を挙げる。さらに42分、椎橋の縦パスからお手本のような崩しで、最後は和泉のお膳立てを受けた永井がこの日2点目。大きな追加点を奪って、前半を折り返すことに成功した。 しかし後半、初優勝に向けた新潟の執念に呑み込まれる。疲労の色が見え始めた71分に反撃の1点を許すと、後半アディショナルタイムに中山が痛恨のPK献上。これをFW小見洋太に決められ、あと1分のところで天国から地獄に突き落とされた。 それでも、2-2で突入した延長戦の93分に勝ち越し弾を挙げたのは、中山だった。数分前のミスを、苦悩したこの1年を取り返してやるという思いが溢れたゴール直後の雄叫び。“意地の1発”がチームを優勝に前進させた…ように思えたが、延長後半にまたしても失点。そして勝負はこのままPK戦へと突入する。 そのPK戦、ランゲラックの威圧が新潟2人目の枠外に繋がると、同選手を含めて4人目まで全員が成功した名古屋グランパスは、5人目に山岸が登場。長谷川健太監督に託された大役だったが、これを見事にゴール右側に沈めた。PK戦5-4。ロッソジャッロは、日本代表を率いる森保一監督も「ルヴァン杯史上、最も良い試合」と称した死闘を制した。
■“韋駄天”と“伝統の7番”
2016年11月3日、クラブ史上初のJ2リーグ降格の憂き目に遭った名古屋グランパス。あれから8年の月日が流れた2024年11月2日に、当時の悔しさを知る永井と和泉が、プロキャリアを始めた名古屋グランパスでの初タイトル獲得となった。試合後、永井は「やっと恩返しできた」と告白。両者はクラブを離れた時期もあったが、前者は2022年夏に、後者は2023年に復帰。35歳となった“韋駄天”はピッチ内外で、“伝統の7番”を受け継いだ和泉はプレー面でチームを牽引した。 そして、最古参のGK武田洋平。絶対的な守護神が君臨するチームにおいて、今シーズンは公式戦5試合の出場にとどまった。ただ、ドレッシングルームの精神的支柱となり、ランゲラックとのポジション争いに誰よりも意欲的に取り組んだ“熱い漢”と立った頂は、格別なものになった。 試合後には、アシスタントGKコーチを務める楢﨑正剛氏を交えた4名で記念撮影を行うと、同氏が公式Instagramのストーリーズにて「降格組で撮りましょう! って…」と綴ったのに対して、永井は引用する形で「今日がその日だから! 良い思い出も追加できましたね」と返している。 新エンブレム元年に勝ち獲った輝く星。この左胸の“誇り”をさらなる高みへ。6つ目の挑戦が、ここから始まる。
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