Jリーグ全60クラブの頂点! 名古屋、5つ目の“輝く星”への199日間の旅路
■プライムステージ
上位に踏みとどまれなかったリーグ戦、失態を犯した天皇杯を経て、現実的に可能性が残った“聖杯”を目指し、9月にプライムラウンド・準々決勝でサンフレッチェ広島と対戦した。約2週間前に行われたリーグ戦で完敗を喫した相手に対して、本拠地『豊田スタジアム』での1stレグでは善戦したものの、0-1と先手を奪われる展開に。迎えた2ndレグ、開始早々にパトリックのゴールで2戦合計スコアを振り出しに戻した後、延長前半に痛恨の失点。それでも、『Never Give Up』のスピリットが脈々と流れる名古屋グランパスは、延長後半にFW永井謙佑の突破からオウンゴールが生まれる。そして、持ち込んだPK戦で、背番号『1』が見せた。広島の2番手と4番手のキックをセーブ、1番手の枠外を誘発した他、自身もキッカーとして成功させる大活躍。2戦合計スコアは2-2、PK戦3-1でベスト4入りを果たした。 その準決勝は横浜F・マリノスと相見えた中、1stレグで夏加入のDF徳元悠平が左足から3アシストという脅威的な結果を残すと、2ndレグでは山岸が指揮官の期待に応える途中出場即ゴール。J屈指の攻撃陣を揃える横浜F・マリノスに苦しめられたものの、この1点が、2戦合計スコア4-3(1stレグ:3-1、2ndレグ:1-2)と国立への扉を開くものとなった。
■影の立役者
大会MVPを受賞したランゲラック、ゴールへと導いたMF森島司、舵を取ったMF稲垣祥、2得点を挙げた永井など、ルヴァン杯優勝に貢献した選手として脚光を浴びる中心選手たち。ただ、そんな彼らに負けず劣らず、タイトル獲得に欠かせなかった“影のMVP”を忘れてはならない。 「ケガをした瞬間から決勝に間に合わせるという気持ちはずっと持っていた」と、決勝前日に語ったのは、CB河面旺成だ。長谷川健太監督に「アキがいないとビルドアップが成り立たない」と言わしめた3バックの左CBは、2022年の加入以降、度重なるケガに泣かされており、先月13日の横浜F・マリノス戦でも負傷交代。今年5月に離脱した際は、復帰するまでの公式戦9試合で1勝3分5敗と負け越していることからも、勝敗のカギを握るほどの存在であることが分かる。前述した通り、決勝戦が復帰戦となったが、120分間を戦い抜いた。 そしてもう1人、今シーズンに名古屋グランパスと“ともに行く”ことを決断した右CB内田宅哉。レンタル加入1年目となった2022シーズンはウィングバックとして、2年目となった2023シーズンはボランチとして、完全移籍に切り替わった今シーズンは右センターバックとして地位を確立した。確かなテクニックと、複数ポジションをこなせるサッカーIQに加え、名古屋グランパスで身につけたハードワークで、選手として進化した内田に対して、長谷川健太監督も絶大な信頼を寄せている。